信頼を生み出す「進捗」の魔術

Giftではファンドレイジングデザイン講座(以下FD講座)と題し、NPO運営者向けの4回の連続講座を実施しています。全回無料で提供しているので財務面やファンドレイジングについてお悩みの全てのNPOさんにどんどん受けていただきたいです。そして、より良い寄付体験を寄付者の皆さんに届けてください。

とはいえ、内容やその効果が見えない講座に参加するのは勇気がいるかもしれません。そこで、FD講座の内容を4回に渡ってご紹介していきます!

FD講座、第1講、第2講は「不信感」への「こたえ方」についてお伝えしています。その上で、第3講「広報担当者と考えたい NPOのコミュニケーションデザイン」では、コミュニケーションによって「信頼」を築く方法をお伝えいたします。

そこで、本ブログでは「進捗」の魔術と題し、最大のポイントである「意味を伝える情報発信」について書いていきたいと思います。

Giftの原体験

僕たちは資金調達をするNPOさんのために募金箱の設置回収を代行する事業を行っていました。特に難病を患ったおこさんのために寄付を集める団体さんの募金箱をよく設置していました。

目標金額は数億円単位でしたが一人のこどもを救うために全国から寄付が集まり、僕たちも達成の喜びを一緒に感じたことがあります。そして、僕たちの仕事の一つは寄付者にその達成の「報告」をすることでした。

その報告はシンプルで、写真と成果をA4用紙に印刷して募金箱を設置してくれていたお店に貼ってもらうことでした。

ある時、目標金額が集まって、手術が決まったご報告を募金箱を設置してくれていたコンビニへ持って行った時のことでした。自動ドアをくぐり、店員さんに事情を伝えた時、「あの子、助かったんですか!?本当によかったですね!」と喜んでくれたことがありました。

一枚のA4用紙が人を喜ばせることがある。

僕らにとって募金箱事業はそんなことを教えてくれた事業でした。

募金箱

情報を通じて、意味を伝える

「情報」をたくさん発信すること以上に、その情報で伝わる「意味」に価値がありますが、「意味」を伝えるのはとても難しいです。

なぜなら、「情報」を発信するのは送り手側の責任ですが、「意味」を理解するのは受け手の責任だからです。この難しさを3つに整理してみましょう。

1、送り手が自身の伝えたい「意味」をわかっていない

「自分の想いを伝えたいけど、なんて言っていいかわからない。」そんなもどかしさを感じたことがあると思います。この難しさは内面の気持ちや価値観などの曖昧な領域を表現するときに生じるかと思います。

これに関しては人と対話することや文章を書いてみるなどで自分自身が伝えたい「意味」を自覚する練習を行いましょう。また、伝えた「情報」から伝わった「意味」のフィードバックを人からいただくことも重要です。

2、送り手が伝えたい「意味」を伝えるために適した「情報」をわかっていない

「この想いをどう表現したらいいのか……。」という悩みは発信する「情報」の扱い方の難しさかと思います。これに関して「情報」の性質を理解し、適切にツール、チャネルを組み合わせていくことが有効です。

ここでいうツールは言葉、写真、動画など「意味」の表現物を指し、その表現物を届ける媒体をチャネルと呼んでいます。こども食堂を例に考えてみましょう。

HPというチャネルは初めて団体の存在を知った方が検索することが多いかと思いますので、初めての方がわかるように基本的な「情報」をためておくといいでしょう。具体的には運営する子ども食堂のイメージを象徴する写真をトップに掲載することや活動の想いを文章にすることなどが考えられます。

一方、SNSはすでに団体を知っている人が登録して定期的に情報を受け取る形が多いかと思いますので、「現場の臨場感」を伝える「情報」によっても「意味」を伝えられると思います。

例えば、「子どもたちがやりたいことができる環境が大切」という文章を流す代わりに、「今日は突然、お菓子つくると言い始めたので、一緒に買い物に行って、二人でケーキにするか、クッキーにするか悩みながらチーズケーキを焼きました。」という一言とチーズケーキの写真が載せられていれば具体的に「やりたいことができる環境」の意味が伝えることができます。

SNSのように「情報」が流れていく媒体では「意味」を言葉で繰り返すよりも「意味が形になったもの」を発信する方が「意味」をより良く伝える「情報」になり得ます。一言で言えば、百聞は一見にしかずですね。

以上のようにチャネルやツールを効果的に組み合わせ、伝えたい「意味」がより良く伝わる「情報発信」を練習していきましょう。

3、受け手が受け取った「情報」から「意味」を構築できない

「あっ、そういう意味でその言葉使ってたんだ」と会話の中でイメージのずれを感じることがあると思いますが、人それぞれイメージが異なるのである程度、仕方ない部分があります。むしろ、それを前提にして、共通認識をつくる努力として双方向性のある情報発信をオススメします。

共通認識をつくる過程て、情報の受け手を「無関心、関心あり、参加経験あり、寄付あり」の4つの段階で関わりの深さを分け、その段階に応じて「情報」を届け、お互いの認識をすり合わせていくことで改善が見込めます。

関わりが深くなることで、少しの「情報」でより深く「意味」を理解してもらえると思います。

例として、Giftの原体験で先ほどお伝えしたコンビニの店員さん場合、そのお店に募金箱を1ヶ月半ほど設置しており、その間、経過報告を続けていたので現場の喜びが臨場感を持って伝わったのだと思います。届けたのはA4用紙1枚ですが、伝えたのは「あなたのおかげでこどもの命が助かった」という「意味」でした。

ここまでの話を整理したのが下の表です。本講座はこの表に基づいて各段階を詳細にお話しさせていただきます。

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コミュニケーションによって寄付体験をデザインする

ここまでお伝えしてきたのは情報発信の方法論です。僕たちとしては現場でしっかり活動をしていればこそ発信を大切にしてほしいと思っています。

僕が発信を強調しているのは寄付をいただくためだけではなく、ミッションをより良く果たすためです。第2講の解説時にミッションは社会の中で引き受けていく役割を宣言するものと説明しました。そして、それを宣言する背景には社会的な課題や価値観に紐づいたビジョンなどがあり、活動を通じて価値を創造し、成果に関して共通認識をつくるためでした。

僕たちが取り組む社会課題の多くは社会の構造が課題を生み出していると思います。その構造は相関関係を持った変数の集合体なので、自分だけでコントロールできるものには限りがあります。なので、僕たちが関係を変えられれなければ変わっていくことはあまり期待できないと思います。

つまり、一人では変えられないということです。

そのような理由から多くの人々と共に変わっていくことが重要です。そして、多くの人々と共通認識をつくるための情報発信の方法がこのブログでご紹介してきたものです。

では、どんな意味を共有すればいいのでしょうか?

ミッションを伝えることはもちろんですが、ご提案したいのは「あなたが加われば社会をより良く変えられる」という「意味」です。受け手にとってそれは希望を感じられる「意味」だと思います。そしてその希望に現実味を持たせるために「今まさに変わっていること」も伝え、信頼関係を築いていくことが重要です。

そこで、「進捗」を使っていきます。

「進捗」は成果をあげて、目指している世界に一歩でも近づくことです。成果はミッションに紐づいたもの以外にもチームや個人の成長も含まれます。というのは、取り組みが失敗しても、そこから学びがあれば次の一歩につながります。また、例え設定した目標を達成できなかったとしても全く何も進んでいないことはないと思います。

大切なことは失敗したり、うまく行かないことがあっても隠さずに挑戦を続けている真摯な姿勢だと思います。

「進捗」という「情報」が「今まさに変わっていること」だけでなく、「あなたがその活動に望む姿勢」も「意味」として伝えているのです。

僕たちが募金箱事業で体験した報告時の喜びはまるで「スポーツの試合を一緒に観戦している仲間」ような一体感がありました。「進捗」するというのは共に希望をもち、その希望に向けて一つずつ歩みを共にすることです。そして、時に悔しさを感じることもありますが、勝利した時には共に祝福ができる関係になっていくと思います。

「進捗」の共有をこれだけ推奨しているのは、この一体感を生み出せるところに魔術的な威力があります。「進捗」の魔術を使いこなすために、「意味を伝える情報発信」にチャレンジしてこの威力を体験してみてくださいね。

スライド03

終わりに

講座の受講をご希望される方はこちらのページからお問い合わせいただくか、下記のメールアドレスまで直接ご連絡ください。

giftbox.charity@gmail.com

今回はファンドレイジングデザイン講座の第3講「広報担当者と考えたい NPOのコミュニケーションデザイン」についてお伝えさせていただいたので、次は最終回、第4講「コミュニティで取り組みたい チームファンドレイジング」について書いていきます。

次回もお楽しみに。

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