コミュニティの力を高める学びの仕組み

Giftではファンドレイジングデザイン講座(以下FD講座)と題し、NPO運営者向けの4回の連続講座を実施しています。全回無料で提供しているので財務面やファンドレイジングについてお悩みの全てのNPOさんにどんどん受けていただきたいです。そして、より良い寄付体験を寄付者の皆さんに届けてください。

とはいえ、内容やその効果が見えない講座に参加するのは勇気がいるかもしれません。そこで、FD講座の内容を4回に渡ってご紹介していきます!

FD講座、第1講、第2講、第3講では「何に使われているのかわからない」という寄付者との対話のためのノウハウを棚卸してきました

最終回である第4講「コミュニティ全体で取り組みたい チームファンドレイジング」では、ファンドレイジングを一人ではなく、コミュニティ全体でより強力に行っていく仕組みについてお伝えしていきます!

↓講座の全体像

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寄付集め最大の辛さ

「荒川に言われたら寄付したいけどちょっと何しているかわからんので今回は見送らせてください。」

Giftのマンスリーサポーターになってもらうべく、友人に声をかけたときの反応です。断られるのは辛いものです。ただ、ここで強調してお伝えしたいのは僕が感じる寄付の辛さは「断られたという結果」以上に「個人の信用を切り崩す」ことに対して感じました。それは次のようなセリフを聞いたときに強く感じました。

「よくわからないけど、荒川がやるならとりあえず出すわ」

「何をしているわからない」という寄付にまつわる不信感を拭えずに寄付を得ると属人的な寄付集めになります。その属人性というのは「私が一人の人間として築いてきた信用」を失いかねないことだと思います。

しかし、チームでファンドレイジングを行うには「寄付をもらうことの辛さ」をみんなで乗り越えていく必要があります。その最大のチャレンジは「組織の信用」を高めることであり、「個人が安心してチャレンジできる文化づくり」が全てです。

「組織の信用」とは一言で言うとブランドです。「子ども食堂をやっています」と言いつつ、成人や高齢者ばかりの食堂になっていたら言うこととやることの間に一貫性がありません。言葉と活動が一貫性を持つことで、周囲は組織を信用できるようになるのです。

「最適化・再現性・学習力」を高める仕組み

以上が「組織の信用」を生み出す原理です。ここからはその方法として「寄付コミュニケーションの最適化、再現性、学習力」を高める仕組みづくりについて書いてみます。

最適化

最適化は、適切なタイミングで、適切な「情報」を、適切なチャネルで届けるということです。つまり、第3講の内容を精緻化するところが出発点です。次の2つの画像をご覧ください。

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チャネルの組み合わせ方が粗いと個人に対する負荷が大きくなります。例えば1枚目のスライドは「無関心」から「関心あり」にいくために「友人から紹介」以外にありません。しかし、2枚目は「SNSシェア」や「HP検索」がなされ、「友人からの紹介」が起きています。

おそらく2枚目の流れで紹介された場合、「完全に無関心」ということはなく、少なくとも聞く耳を持っている状態で対話を始められると思います。そうするとイベントや説明会への招待は難しくないでしょう。

各段階で提供すべき情報を提供し、必要な機会を作ることに組織的に対応できていれば、属人的なコミュニケーションの負荷を軽減することができます。

もちろん、それでも負荷がないわけではないですが、少なくとも「〇〇さんがいうから寄付をします」という人の数よりも「団体の活動に共感して寄付をします」という人の数を増やしていくことができると思います。

なぜなら、コミュニケーションの過程で団体という一貫性のある複数の人とコミュニケーションすることで「集団に対するイメージ」が生まれていくからです。それはつまり、個人ではなく、組織の関係者を増やしていくということです。

再現性

再現性は団体が発信する「情報」の質です。SNSやブログなどで発信する文章や写真、動画の質や説明会で使用するスライドショーの質にばらつきがあると受け取る人の情報の質に差が生まれてしまいます。

Aさんが書いた文章は伝わりやすいが、Bさんが書いた文章は伝わりにくい場合、発信頻度が仮に両者同数なら、初めてブログを読む人がBさんの記事に触れる確率は1/2となります。

そのBさんの情報で団体に興味をなくしてしまい、それ以降、その団体さんの情報を受け取ってもらえないという残念な自体になるかもしれません。

もちろん、センスや才能もあるので役割を任せ切ってしまうことなども大切ですが、発信業務は日々のことなので作業負担もありますし、報酬を払えないこともあると思いますのでAさんが燃え尽きてしまうかもしれません。

そこで発信においては団体として「外せないポイント」を明確にしておくことが大切です。例えばブログの場合、次のようなことを団体内で統一するといいかもしれません。

— — —
・タイトルの付け方のコツと団体コンセプトの確認
・書き始め、本文、結びの3つのタームにわけ、最大文字数を制限する
・書き終えたらフィードバックを相互に行う
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「外せないポイント」を明確にすることで、再現性を高めつつ、個性を残す形で成長を促せるかと思います。そのポイントが押さえられていれば個々人の主張は違ってもいいかもしれません。

例えば僕たちGiftの場合、「寄付によって寄付者が幸せになることが最も大事」という主張と「寄付によってNPOの運営が持続可能になることが最も大事」という見解の違いがブログの書き手の違いによって生じていたとしても、「分かち合う喜びを広げる」というミッションに反するものではありません。

組織の見解ではなく、個人の見解であることを強調する必要はあると思いますが、NPO活動は顔が見える関係性にも価値がありますので、組織に埋没化してしまうのも惜しいことです。

「組織の信用」と「個人の信用」を効果的に使い分けつつ、団体のカラーを作っていければ多様なファンを獲得することができると思います。

ここではSNSについて書きましたが、講座本編では対話による寄付依頼を想定してお話しします。「寄付ください」というための対話法についてお伝えしていきますのでそちらもぜひお楽しみに。

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学習力

最適化、再現性について書いてきましたが、これを現実のものにしていくには当然、実態が伴う必要があります。そのために必要なのは学び続けるということです。

ここでいう学びは最適化と再現性の2つに分けられます。

最適化した発信の仕組みをさらに機能する形にするために、足りない機会やあった方がいい機会を作っていくことになります。実際に行動に移す中で、情報を受け取ってくださった方や企画に参加してくださった方よりフィードバックをもらい、さらに関心の高めるものやコミットメントを深めるものを用意していきましょう。

具体的に言えば、まだ使っていないSNSを取り入れることやブログの連載企画を打つことなどが考えられるかもしれません。

再現性のある発信はアクションの過程と結果から学び取り、実務の向上に活かすための振り返りを行います。また、振り返りを数人で行えばチームとしての学習につながりますのでおすすめです。

具体的に言えば、SNSで発信を終えてから文章を読み返したり、リアクションや拡散がなされているかを確認しましょう。そのあと「なぜリアクションが高かったのか」、あるいは「低かったのか?」を何人かで話してみましょう。課題が見えてきたら改善策を話しあってみましょう。

お気づきかもしれませんが、ここまで書いてきた学習力はいわゆるPDCAです。計画を立て、行動して、振り返って、次に活かす。そうすることで最適化と再現性を高めていくことが学習力のポイントになります。

しかし、「コミュニティの力を高める学びの仕組み」はこれで全てではありません。最後に「コミュニティの文化」について書かせていただきます。

「できないこと」に挑戦する文化

学習とは「個人として、集団として学習者たちが心から作り出したい結果を実現するための能力を向上させるプロセスである」という定義があります。机に座って知識を得ることは確かに知ることではありますが、学ぶことと同義ではありません。

先述した学習力はPDCAによって実践し、振り返り、できるようになるという意味で学習しています。しかし、今日の複雑化し、先を予測できない社会においては前提となるものが絶えず刷新されていくことがあります。

今日、全ての事業者が新型コロナウイルスの発生により事業計画を大幅に見直しています。テレビやレンタルDVDはインターネットの出現によってその存在意義を問われています。次に何が生まれるか、それが私たちに何が求められるのかわかりません。

しかし、NPOにとってミッションが「社会的役割」である以上、社会の変化に伴ってNPOの役割は変化して当然です。次の2枚の画像をご覧ください。

スライド26

スライド27

こんな仮定をしてみましょう。あなたは子どもたちの居場所を運営しています。突如、今回のパンデミックのような社会的な出来事で居場所を必要としている子どもたちが増えたとします。すると、すでに定員いっぱいのあなたの居場所に新しい子どもたちが流れてきます。

手が足りませんが、時期も時期なのでボランティアに来てもらうことにも躊躇が生まれ、ボランティアの数が減ります。するとボランティアさんが減るので、子どもたち一人一人に丁寧に関われなくなります。

PDCAでこの状況の改善を考えると、一人のボランティアさんが対応できる子どもたちの数を増やすことや子どもたちに人数制限をかけることなどが考えられます。

しかし、突然、あなたは2枚目のスライドのように手が空いているボランティアさんに新しい居場所を作ってもらうことを思いつきます。

問題はあなたが新規居場所立ち上げを支援をしたことがないことやボランティアさん自身が「お手伝い」から「運営者」への転換にハードルを感じることかもしれません。

しかし、そういった思い切った転換を図ることでシステム自体が変化してきます。システムが成長するためには「できないこと」に取り組む時間が意図的に作る必要があります。

PDCAも確かに「できないこと」に取り組んではいますが、それは現状のシステムにより「適応する」ための学習です。一方でここで提案している「できないこと」はシステムを新しい形に「変容する」学習です。

変化が激しい時代と言われますが、その変化それ自体に私たちNPOがなっていくところにこの学習のスタイルがあります。そんな「できないこと」に挑戦する文化が「組織の成長」につながっていきます。

そして、ミッションに忠実な価値創造のための「組織の成長」が周囲に伝われば、「組織の信用」が高まります。すると、結果的に寄付も集まるようになると思われます。

ある種の矛盾を孕みますが、チームファンドレイジングを行うとミッションの追求が目的となり、ファンドレイジングが目的ではなくなります。寄付してよかったと思える寄付というのは「組織の成長」を共に感じ取り、「ミッションを一緒に果たせた」という達成感から来る「喜び」なのだと思うのです。

ファンドレイジングはあくまで組織の活動の一部であり、組織の活動の目的でないことがここまでのブログで伝わっていれば幸いです。

終わりに

いかがでしたか。ファンドレイジングデザインの全体像が見えてきたでしょうか。ブログを読んだだけでも取り組めることが見えてきている方もおられるかもしれません。

良いファンドレイジングはファンドレイジングを目的にしていないというある種の矛盾にこそ寄付体験デザインの肝があります。純粋に社会を変えることに挑戦し続ける正直な集団への寄付というのが僕たちが目指している団体像です。

僕たちもこの講座を開いていることに恥じないように事業を行っていきたいと思います。この挑戦をご一緒できたら嬉しいです。

講座の受講をご希望される方はこちらのページからお問い合わせいただくか、下記のメールアドレスまで直接ご連絡ください。

giftbox.charity@gmail.com

今後ともGiftをよろしくお願いいたします。

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