連載企画、団体インタビュー!
5回目となる今回は、大阪を拠点に活動されている任意団体World Seedさんをインタビューさせていただきました。
「自分たちだけではやらない、絶対誰かと一緒にやっていく」をモットーに、人と人とのつながりや縁を大切にされているWorld Seedさん。様々な社会課題の解決やコミュニティづくりに取り組む彼らのルーツとガッツ、ぜひご覧ください!
インタビュアー:人見 尚汰
インタビュイー:岡見 厚志
【World Seedのルーツ】
人見:それではまず最初に、World Seed設立の経緯を教えていただけますか?
岡見:わかりました。元々のルーツは、大学生の頃に私を含めた3人で立ち上げたサークルでした。当時は社会課題や国際社会への関心が強かったんですが、環境活動を始める友人をきっかけに、自分たちも環境分野へ関心を持つようになりました。
それ以降いろんな団体の方とお話させていただくようになったんですが、その多くが自分たちだけで課題解決を目指してる感じが強かったんです。せっかく同じ分野で活躍しているんだから連携し合えたらもっといいのでは……? そんな思いが頭を巡り、その声はメンバー内でも上がり始めました。「団体同士やイベントに関わる人たちが手を取り合えるようなコーディネート団体を作ろう」そんな思いから、任意団体World Seedが設立されました。
【幅の広い活動領域】
人見:実際の活動内容を教えていただけますか?
岡見:環境・社会問題など、様々な課題にアプローチするプロジェクトの企画やコーディネートが活動のメインとなっております。
環境分野では、大阪・八尾市内の廃校を拠点とした、大阪の田舎への移住を盛り上げていく「八尾廃校SATODUKURIBASE」というプロジェクトであったり、大阪・天神祭のごみ削減を目的とした「天神祭ごみ0大作戦」の立ち上げ・コーディネートを行っています。
環境分野以外ですと、「ダブルスマイルサンタ」というクリスマス企画があります。こちらはハンガーゼロ(国際飢餓対策機構)というNGOと協力して企画・運営を行っているんですが、お申し込みされたご家庭にサンタクロースの格好をした学生が訪問し、「サンタさんって本当にいたんだ!」と子どもたちに喜んでもらいつつ、その際いただいたチャリティーを海外の子どもたちに届ける、日本と海外の子どもたち双方を笑顔にするプロジェクトです。
――なるほど、環境だけに絞らず幅広く活動されている、と。
岡見:そうですね。他にも地域住民のコミュニティづくりを手掛けさせていただいたり、行政の取り組みに関わらせていただいたりと、分野はかなり広いです。
【間口を広げるためのこだわり】
人見:活動する上で意識されていること、大切にされている考え方などはありますか?
岡見:「自分たちだけではやらない、誰かと一緒にやっていく」というのは意識しているところで、特にボランティアの方にたくさんご協力いただいていますので、参加されたみなさんがしっかりと関われるよう間口を広げたり、関わりやすさには気を配っています。
――「関わりやすさ」と言いますと、具体的にはどういったことでしょう?
岡見:「見せ方」ですね。「天神祭ごみゼロ」や「サンタクロースになれる」、「廃校を利用」といったキャッチーさはその一つです。
例えば、以前役所が企画する環境イベントに携わらせていただいたことがあったんですが、若い方たちに集まってもらおうと、「学生だけのチームを作ります!」や「就活に役立ちます!」といったターゲットの興味を唆る見せ方・伝え方を実践しましたし、今もこだわっている部分です。
【活動のやりがい】
人見:どんな時にやりがいを感じますか?
岡見:プロジェクトの成果が出始めた時ですね。
プロジェクトの立ち上げには相当な労力と時間が必要でして、「天神祭ゴミ0作戦」の1年目なんかはもう本当に大変でした。だからこそ、何もなかったところから少しずつ形になっていくのを感じられると嬉しいですし、僕たちに共感してくださる方が増えていくとより盛り上がりますね。
他にも、学生時代僕たちと関わってくれていた学生たちが、NPOや社会貢献系の団体に就職したという報告をもらえると嬉しいですし、やってよかったなというやりがいを感じますね。
――プロジェクトを通じて新しいコミュニティが出来ていくでしょうし、成熟していく過程そのものもある種の「まちづくり」と言えますよね。
【13年間で培ったもの】
人見:13年間の活動を経て感じるご自身たちの成果、社会に残してきたインパクトなどはございますか?
岡見:プロジェクトがたくさん生まれたこと、そして、その中で関わってくれたたくさんの方々の存在ですね。プロジェクト内で知り合った方たちが僕の知らないところで関係を深めて、また新しいプロジェクトが生まれたという話も聞きますし、プロジェクトという形でいろんなきっかけを作れたことは13年間の成果と呼べるのではないでしょうか。
――それは素敵なお話ですね。実際にはどんなプロジェクトが生まれましたか?
岡見:「天神祭ゴミ0作戦」と同じようなプロジェクトを他の地域でも取り組んでみたい、という声が届いています。他の地域への波及効果を生み出すこともこのプロジェクトの目的の一つでもありましたので、こういった声を聞けると「プロジェクトうまくいったんだな」と、実感を得られますね。
【変化した社会の価値観・常識】
人見:ご自身たちの活動を経て感じる、社会の変化はございますか?
岡見:僕らが変えた、ということではないんですが、ボランティアに参加する人がガラッと変わったと思います。
――13年前と比べて?
岡見:はい。絶対数の増加と若年化が顕著ですね。設立当時(2009年)にボランティアの募集をかけると大学生を中心に集まっていましたが、最近では高校生や中学生など若い年代も多く見かけます。
「ボランティア部」や「ボランティア委員」といった仕組みの定着や学校課題の一つにボランティアがあったりと、奉仕活動そのものが今の若い人たちにとって「当たり前」の一つにになりつつあります。逆に僕たちとしても彼らにとっていい体験の場となるようなプロジェクトやイベントにしたい、しなければ、というやる気と責任を感じますね。
――教育現場の風潮や社会の在り方が変わった、ということですね。とすると、ご自身たちの声も届きやすい世の中になってきているのでは?
岡見:圧倒的にそうだと思います。言い方は悪いですが、僕らが学生の頃は「環境」とか「NPO」と聞くとちょっと胡散臭いイメージを持つ人も少なくありませんでした。でも最近はNPOに就職する人が増えたり、人を雇えるNPOが増えてきていますし、イメージが変わった証拠だと思います。
――お金や知名度ばかりを重視する時代から、やりがいや貢献度を重視する時代へ……。10年以上の時を経て、価値観や常識すら変わっていったのかもしれませんね。
WorldSeedの活動はこちらからご覧ください。