任意団体World Seedインタビュー 中編!
World Seedさんの沿革・活動についてお伝えした前編。
中編となる今回は、運営や収益などお金にまつわる部分を中心にお話していただきます。
F,Lab(第一期)を経て、大きな資金調達に成功したWorld Seedさん。F,Lab受講生の「草分け」「パイオニア」と言っても過言ではない彼らの内部で起きた、「科学反応」とは……?
成功の秘訣やその後の変化に迫ります!!
インタビュアー:人見 尚汰
インタビュイー:岡見 厚志
コメンテーター:小山 真由美
【運営状況・寄付成功への道】
人見:ここからは運営状況についてお聞きしようと思うのですが、まずは収益について教えていただけますでしょうか?
岡見:わかりました。現在の収益は、府や市といった行政からの委託業務が中心となっており、その他にはNPOなどの広報サポートとしてデザインや動画制作などの委託業務に取り組んでおります。割合で言うと、8:2くらいですかね。
――ありがとうございます。ちなみに、寄付による収益はいかがでしょうか?
岡見:継続寄付は微々たるレベルですが、プロジェクトを機に行うクラウドファンディング(以下「CF」)では多くの方に賛同していただいており、かなり助けられています。
今年も長屋をオフィスに改修するためにCFを行ったんですが、理事の一人が「F,Lab」で勉強したことをしっかり活かしてくれたことで、大きな成果を残すことができました。
――それはGiftとしても嬉しい報告だと思います。CFはかなり順調に進んだんでしょうか?
岡見:そんなこともなかったです。まず序盤で伸び悩みましたので。そこからさらに終盤でも伸び悩んでしまったんですが、広報や連絡など、最後の最後で一気に力を入れたことで盛り返し、かつ「僕自身が丸1日何でもする」というリターンを付けたコースがヒットしてくれたことで、最終的には60人の支援者から54万円、目標達成率166%という結果で終わることができました。
小山:改めて振り返ってみても、本当に見事なご活躍ですよね。特にご自身の時間をリターンにするのって、よほど信頼がないと難しいことですから、最終盤での盛り返しはみなさんの粘り強さはもちろん、岡見さんの魅力があってこそだと思います。まさしくお手本となるようなCFではないでしょうか。
【受講のきっかけ・タイミング】
人見:なるほど。うまく結果にまで昇華させた素晴らしいエピソードですね。
そもそもどういった経緯で「F,Lab(第一期)」を受講することになられたんでしょうか?
岡見:僕たち自身、寄付への意識はずっと以前からありました。しかし、ノウハウのわからない状態から「さぁやろう!」で始められるものでもなく、勉強しなくちゃいけないなと思いながらもなかなか手を付けられないでいました。そんな中、小山さんを通じて「F,Lab」の存在を知り、受講料という形できちんとお金を払い、責任感を持ちながら勉強しようと思ったのが受講きっかけです。
――なるほど。思いはあったが、きっかけがなかったと。
岡見:そうですね。特に「F,Lab」の場合、代表だけでなくスタッフを含めた複数人で受けられる点が魅力的で、最後の後押しになりました。
小山:ありがとうございます。私たち自身これまでいろんな団体さんと関わらせていただきましたが、意外と代表の方ではなくメンバーの方に火がつくケースも多かったかなと。
代表さんの多くが日々のタスクに追われ、なかなか他のことにまで手を割く余裕がないと言うのが現実ですので、メンバーの方たちが立ち上がり、チーム一体となって組織を運営していく形が私たちとしては理想なんです。
岡見:実は、「F,Lab」をきっかけに経営推進チームという新しい仕組みが出来たんですよ。それを機に理事会の進め方が向上したり、事業計画に変化が生まれるなどの効果がありました。一人一人が責任を持って動いてくれるようになったことで代表である僕の負担が減りましたね。
――団体の力が底上げされ、パワーアップしたような印象ですね。
岡見:パワーアップというより、気持ちの部分が切り替わったことで元々備わっていた力が目覚めた、と言った方がしっくり来る気がします。彼らが頼もしくなっていく様を見て「メンバーに頼っていいんだ」という安心感を得られたのは僕自身大きかったです。
――これはGiftが常々掲げている「団体自身が成長すること」を達成されていると言えますよね。
小山:NPOの運営ってイメージしている以上に大変なんですよね。運営の仕方を教えてくれる人なんていないし、ましてやそういう仕組みやプログラムすら整っていない。人が集まり、力を出し合って初めて成り立つ……そうして人が集まることを前提としているからこそ代表一人の力に依存してはならないんです。
私たちGiftに出来ることは、NPOが自分たちで組織を回していく力を身に付けられるよう、彼らにとってのOJT(職場内訓練)を提供することだと考えていますので、それを実現してくださったのは私たちとしても喜ばしいです。
岡見:これまで業務のことばかりで、団体の基礎づくりからは目を逸らしていました。設立10周年を機に少しずつ変えていこうというスタンスにはなっていたので、タイミングよく変革の時期に「F,Lab」と出会えて幸運だったなと思います。
【寄付があったらできること】
人見:活動収益が増えたり、継続的に寄付を受けられるなど、今後一層安定性を見込めるようになった場合に挑戦してみたいことはございますか?
岡見:やってみたいことは色々ありますが、まずは人材育成ですね。
イベント・プロジェクトの中には協賛を集めづらいものもあるので、そういう状況下でもしっかり資金調達に向けて動ける人を育てたいんです。また、現状ボランティアさんのお力を借りて回しているケースも多いので、業務として関わってもらい、ちゃんとお金も払える……そのための準備をしていきたいですね。
小山:「ちゃんとお金を払える」というのは、NPOの課題だなと思っています。委託業務や事業収益だけではなかなか余剰は生まれにくいので、寄付収益をしっかりと受け、他のことにも注力できる余裕を持っていきたいですよね。
岡見:特にWorld Seedは委託業務が多いですし、もし全部失ってしまったらどうしよう……という不安はいつも持っています。その不安を減らすためにも、寄付という形でベースとなる収益は確保しておきたいですね。
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