任意団体World Seed インタビュー 後編!
3本目となる今回は、World Seedさんの想いや価値観など、より内面部分に迫ります。
過疎、フリーランスの増加、限られた人付き合い……。近年加速度的に進むコミュニティの縮小。
「個人主義」とも言える今の時代における「まち」「コミュニティ」の意義とは?
そして、World Seedが思い描く「究極のまちづくり」とは……?
連載企画最終章、どうぞお楽しみください!!
インタビュアー:人見 尚汰
インタビュイー:岡見 厚志
【「まちづくり」のキー】
人見:ここからはWorld Seedさんや岡見さんの内側に迫りたいと思います。
まず、「まちづくり」において大切にされていることは何でしょうか?
岡見:参加者それぞれがやりたいことに挑戦できるのが大切だと思っていますので、みんなが関わりやすいと思える環境作りを第一に心がけています。
「この場所だからこれをやらなきゃいけない」であったり、「こうあるべきだ」というのは持たないよう気を付けていまして。好きなことだけやって、やりたくないことはやらなくていい、というスタンスを持っています。
それぞれが、それぞれの「やりたい」を尊重し、必要なスキルを身につけていってもらうこと。それは個人の成長だけでなく、コミュニティの成熟にも繋がっていくことだと思いますし、互いを尊重できる寛容さは「まちづくり」のキーになるのではないでしょうか。
【「コミュニティ」の醍醐味】
人見:どんな時に「まちづくり」「コミュニティ」の必要性を感じますか?
岡見:「あった方がいい」とは昔からずっと思っているので、特別必要性を感じるタイミングはないんですが、活動を通じて同年代・他業種のいろんな価値観の方と繋がれているので、「あって良かった」と思うことは多々あります。
歳を取るにつれ、会社や家庭がコミュニティの中心となり、学生時代のように楽しく遊んだり、相談事をし合うような友人ってなかなか出来にくくなると思いますが、いろんな人と関わらせてもらっている仕事柄、今でも面白い出会いに恵まれていますし、お互い助け合って協力し合って、という関係性で居られることがシンプルに楽しいんですよね。
-その面白さをもっといろんな方に感じて欲しい、といった思いもありつつでしょうか?
岡見:感じて欲しいというより、自然と感じられるだろうとは思っています。
いろんなコミュニティを持っておけば、災害などが起きても誰かからの助けをもらいやすいですし、相談相手がたくさん居れば仕事やプライベートの悩みを一人で抱え込むことも少なくなると思うんです。何かあった時に互いを助け合える風潮が当たり前に広がってくれると嬉しいですね。
【変わる・許容する】
人見:「まちづくり」を通じて、ご自身の変化や成長を感じることはありましたか?
岡見:「これが成長した」と一つに絞れないほど成長してると思いますし、変わったところがないほど刷新されたと思います(笑)。
-性格、考え方、気持ちの持ちよう……、あらゆる面が変わった、と。
岡見:そうだと思います。「変化をしていこう」が僕のモットーですので変わっていって当然ですし、逆に「ブレない軸を持とう」とか「こうあるべきだ」みたいに固く考えてしまうのは苦手なんですよね。
-「こうあるべきだ」は、ついつい持ってしまいそうになります。「こうして欲しい」や「こうなったらいいのに」が、知らず知らず強く出てしまうと言いますか。
岡見:ありますよね。自分の持ってる「こうした方が良くない?」も、相手にとっては全然そうじゃなかったり。でも、やっぱり許容することは大切かなと思います。
僕自身も同じような経験がありましたが、我慢や許容を繰り返して、少しずつ柔らかくなっているように思います。そうやって変化していけたからこそ出会えた人たちもいっぱいいらっしゃいます。
-逆に言えば、「変化をしていこう」というモットーを変わらず貫き通して来られたんですね。
岡見:そうかもしれないですね。その方が身になることが多かったり、面白いだろうなと思ってきましたので。
【「個の時代」における「まち」の在り方】
人見:少し質問の趣向を変えさせていただきます。
近年、フリーランスや個人事業主といった組織に属さず働く人たちが増えました。 働き方の変化に伴い、人々の帰属意識は薄くなり、時代の風潮も「集団主義」から「個 人主義」に移り変わりつつあります。この「個人主義の時代」における「まち」「コミュニティ」 の意義を、岡見さんは何だとお考えですか?
岡見:逆に個人主義の時代だからこそ必要とされるのかも知れませんね。
World Seedのメンバーの話なんですが、「同期会」というコミュニティを立ち上げたスタッフが います。これは小さな企業に入社した人やフリーランスになった人を中心としたコミュニティで、 同期が出来にくい、もしくは少ない立場の人たち同士が集まり、同期のように絆を深めていこ う、といった具合です。
確かに、今の時代は昔に比べ「一人」でも生計を立てやすい世の中にはなりました。でも「孤独」 では誰も生きていけません。それは今も昔も変わらないことだと思います。だからこそ、それぞ れが「参加したい」と思える場所が見つかるよう、個人の時代であろうといろんなコミュニティ があり続けるといいのではないでしょうか。
【World Seedの未来図】
人見:ここまでたくさんの質問にお答えいただきありがとうございました。
最後に、今後の目標や未来像を教えてください。
岡見:わかりました。まず近いところで言うと、今年度内の法人登録を目指し寄付が集まる基盤を作っていきます。
収益基盤が安定してくれば、委託業務以外で出来ることも増えてきます。例えば、近年コロナ禍を機にボランティアのミスマッチが多く生まれています。したいけど出来ない、集めたいけど集められない、といったボランティアに関わる双方の悩みを解決できるようなプロジェクトの企画も今後は視野に入れていきます。
そして、これまで関わってくださった方たちがさらに深く関われるような仕組みづくりを目指し、 まずは活動基盤の安定を目指して動いていきます。
-まずは地に足をつける……ということですね。ありがとうございます。 では、将来的な目標もお聞かせください。
岡見:個人的には、「民間の市役所」を作りたいと思っています。
予算の削減等の事情により、今後役所が担えることが減っていくのではないかと予想しています。 無論、役所には役所にしか出来ないことがあるので、その部分は引き続きお願いしなければならないのですが、なんでもかんでも役所に頼むのをやめ、自分たちで出来ることは自分たちで取り組み、住みたい場所を作っていく方が面白いのではと思います。
それぞれが「楽しい」と思える関わり方で、自分の住む「まち」を作っていく「民間の市役所」 を大きな目標に、これからもいろんな人が関われるコミュニティづくりを心がけていきます。
-一人一人が主体として社会を作っていけるようになると世の中も明るくなりそうですね。 たくさんお答えいただき、ありがとうございました!