「現状をなんとかしたい」という想いで、目の前の支援活動に必死に取り組むNPO。活動の裏側では、様々な会計業務が発生しています。
「会計も、専門家に頼んだ方が早くて間違いがない。」
そう話すのは〈高次脳機能障害〉や〈失語症〉、〈構音障害〉などの患者さんの社会復帰と患者家族を支えるNPO法人「Reジョブ大阪」の代表を務める多田紀子(ただのりこ)さん。継続的にGiftの会計支援を受けている多田さんに、日々の相談内容など、「会計」にまつわるお話を伺いました。

Reジョブ大阪代表の多田紀子さん
執筆:西村征輝
編集:寺戸慎也
NPO法人「Reジョブ大阪」は、高次脳機能障害や失語症の方が抱える様々な問題について、その人たちが自分らしく生きていけるよう、社会復帰の手助けをSNSやブログなどを通じ、当事者発信で世の中に広める活動をしています。
相談しているのは「どうすれば法人にお金が残るのか」
—多くのNPOが設立当初は代表一人で会計を担うことが多い中で、Reジョブさんは、設立当初から税理士に会計業務を依頼をしていたと伺いました。初めから会計が重要だと考えていたのでしょうか?
会計が重要だと考えていたというよりも、そもそも税理士に頼まないといけないものだと思っていたんですよ。私の頭の中に頼まないという選択肢がなかっただけで。
—今では会計をGiftに任せてくださっていますが、それはどうしてですか?
最初はGiftの個別相談で、「セミナーの参加費」の勘定科目はどうしたらいいんだろう?といったことを相談させてもらっていたんです。同じタイミングで日々の出納を付けていた前の理事がReジョブを辞められたので、会計を全てGiftにお願いしました。
※個別相談とは?
Giftが行うNPOサポート事業の一つ。個別に継続的な伴走支援をしながら、資金繰りの相談や助成金申請のサポートなど、柔軟に提供しています。
—Reジョブさんは、2ヶ月に1回の頻度で、継続的に個別相談を利用してくださっていますが、どんなことを相談していますか?
「どうすれば法人にお金が残るのか」を相談させてもらっています。相談だけではなく、業務を依頼する時もありますね。助成金を申請する際に、収支報告まで手が回らなかったので、お願いしたことがあります。
私の中ではいつも相談することが決まっているので、「こんなことをやりたいんだ」という話をすると、Giftが別のアイデアを出してくださることもあれば、そのまま受けてくださることもあります。

当事者交流会「まるっと会」の様子
会計のことは「会計の専門家」に聞いた方が早いし、間違いがない
—多田さんにとってGiftはどんな存在になっていますか?
もうGiftがいないと事業が回らないなと思っています。福祉関係の事業をやっていると、本当にお金はギリギリじゃないですか。その中でGiftは私たち法人にちゃんとお金が回るように考えてくださるので、絶大な信頼をしています。
お金が欲しいとかは全然なくて、ガツガツしているわけではないんですけど、Reジョブとして、やりたいことに必要なお金は絶対に回したいって私は思っているんです。お金は手段に過ぎませんが、とても大事なので。
だからもともと少ないお金をどう回すかはずっと考えていますし、必要なお金をどこから引っ張ってこようかとすごく考えます。やりたいことが大きくなるとお金も大きくなっていくので、その中でGiftに色々なことを相談させてもらっています。
—お金に関する相談役、相棒のように感じてくださってるんですね。
私も普段から会計の動画を見たりして勉強しているんですけど、新しく知ったことや、わからないことを聞けばすぐに答えてくださるので、助かりますね。やっぱり専門家に聞いた方が早いし間違いないですよ。
私も言語聴覚士なので、患者さんがネットで色々と調べて、ご自身で「こんなリハビリをしてきました」と話されることもあります。けれど症状がそもそも違うので、必要のないリハビリをしている人もいる。
—専門職の多田さんから見れば、間違ったことをしている。
そうです。会計も同じで、自分で一生懸命調べるのもいいですけど、肝心なところが間違っていたりもするので、専門家にお願いした方がいいなと思ってます。

失語症・高次脳機能障害についてのセミナーを開催
法人の活動や想いを理解した上でサポートしてくれる
—Reジョブさんは、Giftに会計を依頼する前に、他の税理士にも会計のお願いをしていたと伺いましたが、その違いやGiftならではだと思うことはありますか?
それはやっぱり、法人のことをよく理解してくれていることが大きいです。
—法人のことを理解してくれている?
今の法人の活動を知っていて、どんな想いで、私がどういったことをやってきたのか。そうした法人の一連の流れを知ってくれています。他の税理士では、期末に渡すだけの関係になってしまいがちで、数字だけをみてもらう状況になってしまいますが、法人として将来どうしていきたいのかも知っているので、「この助成金に申請してみたらどうか?」と、状況に合わせた提案してくれたり、法人の活動や想いを理解してくれることは非常に大きいです。
—最近では会計以外の部分でもGiftに相談してくださっていますね。
たくさん相談しています。倫理委員会を立ち上げたい時にもGiftにお世話になりましたし、相談に適した人も紹介してもらったり、助成金申請も一緒にやってもらっています。数字が入るものは全部Giftを通すといいなと思ってます。
※Giftでは会計だけでなく、法務や組織運営のサポートも行っています。

発刊しているインタビュー冊子の取材風景
理念を持った団体にこそ、Giftに繋がってほしい
—長期的に個別相談の時間を使ってくださっていますが、これは一番助かった、ということはどんなことでしょうか?
それはたくさんありますよ。細かいこともいつも聞いていますからね。中でも助成金の申請書を書くのを手伝ってもらえたのは本当に助かりました。助成金が採択された後も、領収書を整理したりするのが大変なので、その辺りを任せられるとわかっていると、申請にも踏み出しやすくなるんですよ。
助成金の報告書も私がやろうと思えば出来なくもないですけど、自分の仕事量を増やした時に減るものを考えたら、代表として本来やるべきことに集中するべきだなって思いますね。
—人やお金、資源が少ない段階では、ついつい自分でなんとかしようとしてしまうことが多いと思うのですが、お話を伺っていると、多田さんは潔く仕事を託していく印象を受けます。
そうしないと事業が回らないんですよ。でも人に任せるのも実は大変だったりするじゃないですか。はじめは説明も必要なので、ついつい自分でやった方が早いなと思うことは私もありますけど、自分がいつまでも持っていてはダメなんだなって思います。
Giftは信頼できるので、どんどん託せるなって思っています。だから私は周りの事業所さんにもGiftのことを紹介するんですけど、なかなか頼むことには抵抗があるみたいです…
—会計を頼むのは、お財布の中身を見せるようなものなので、そこに抵抗感を感じる方も多いです。逆にそうした抵抗感は多田さんにはなかったのでしょうか?
ないですよ、私は(笑)。怒られるんじゃないかとか、何か言われるとは思わないです。皆さん申告の時に税理士が必要だとはわかっているけれど、会計士の役割がわかってないんじゃないかな。私は資金調達のためにも、会計士に見てもらうことは大事だと思います。だから理念を持った団体にこそ、Giftに繋がってほしいなと思っています。
—最後に、何か伝えたいことはありますか?
私たちの団体は、皆でわいわい作り上げていく形を大切にしています。事業の主軸にしている当事者インタビュー冊子『脳に何かがあったとき』では、失語症・高次脳機能障害者が、病院を退院した後にどんな人生を歩んで来たのかを取材しています。毎月2名の方に取材をして、発行する。このサイクルを回すのに必死で、なかなか宣伝をする時間がないんですけど、この冊子に関わって下さった当事者の方々が広めて下さっています。
当事者やそのご家族の研究についてのお声がけも増えてきたのですが、それは、「Reジョブには、研究に協力してくださる人たちがたくさんいる、繋がりがある。」と信用していただけるようになってきたからなのかなと思っています。
そうした一つ一つに感謝ですね。
—インタビューにお答えくださり、ありがとうございました!

インタビュー冊子「脳に何かがあったとき
NPOがお金を理由に夢を諦める、なんてこと、無くなったらいいのに。わたしたちは「Giftの循環が拡がる社会」を目指して、NPOの財務基盤を整えるサポートをしています。毎年150件程のNPOの相談を受け、Giftが支援するNPOに対して総額5千万円以上の寄付や助成金等の資金調達のサポートをしてきました。
寄付をはじめとした、有形無形を問わない資金や資源(ギフト)を、あらゆるNPOに巡らせるために、わたしたちの活動を応援してください。
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会計相談の事例をさらに知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。