Gift F,Lab インタビュー 〜「F,Lab」への道〜

【F,Labへ至った転機 – 体力の限界】

――そもそも、なぜ「F,Lab」に至ったのか、その経緯や転機を教えていただけますか?

まゆ:わかりました。「F,Lab」に至った理由は「体力の限界」「NPOが抱える問題構造に気づいたこと」この2つです。

設立当初のGiftは、NPOへの資金調達支援として「募金箱事業」を展開していました。いろんなお店や施設にお邪魔し、募金箱を置かせてもらって、また別の場所へ……と。しかし、思いの外に体力の消耗が激しく、いつまでも続けていける事業ではないなと思うようになりました。

何か別のことを、と考えその次に取り組んだのが、私たち自身がNPOへ直接金銭支援を行う「助成金事業」でした。そこには「お金の使い方がわからない」「会計のノウハウを持ち合せていない」など、お金に関しての悩みを抱えた団体が多かったんですね。それをきっかけに「資金調達や会計にアプローチすることは出来ないだろうか?」と考え、隆太朗と議論に議論を重ねた末、「F,Lab」事業のスタートに至りました。

――そんな経緯があったんですね。募金箱事業って、僕の中ではそこまで体力仕事なイメージはないんですが……。

まゆ:実はかなり体力を使います。募金箱の回収って一日に何軒も回ることが多いんですが、1つ、また1つと増えるたびドンドン重たくなっていって、5つくらい集まる頃にはおよそ30kgにもなります。重すぎてカバンの紐がちぎれてしまった、みたいな日もありましたね。

――30kgは重たいですね……。ちなみに、そのお金はその後どうされるんですか?

まゆ:だいたいいつも近場の郵便局に入金していました。でも、小銭って一回で入れられる量に限界があるんですよね。以前それを忘れて限界以上に入れてしまったことがあって、結果ATMが動かなくなっちゃったんです。後日郵便局に行くと「大量に小銭を入れないでください」という張り紙があって、「あぁ、これは間違いなく自分たちだな」と反省しました。

――なるほど。体力的な負荷はもちろん、かなり手間暇のかかる事業だということが伝わってきました。てっきり運営方針や気持ちの変化が大きな要因だと思っていましたので、こういったフィジカル面の原因も大きかったことに驚いています。

まゆ:事業自体はすごく楽しかったんですけどね。感動もたくさんありましたし、やりがいも感じていましたから。でもそれ以上に疲労や苦悩が多かったのも事実ですね。

【F,Labへ至った転機 – NPOの抱える問題構造】

――「NPOの抱える問題構造」についても詳しく教えていただけますか?

隆太朗:それにはまず助成金事業についてお話させていただきたいのですが、一つは僕が行うカウンセリング、もう一つは財務諸表を元にして行うまゆさんからのフィードバック、この両輪でNPOの事業を審査し、資金援助を行うというものでした。この事業を通して「お金を出しただけじゃ何も変わらない」という問題構造に気づきました。僕が思うに、NPOには資金調達、会計、団体内でのコミュニケーションなどクリアすべき壁がいくつもあって、それらの壁を自分たちの力で越えていくことに意味があると考えています。むしろそれを越えられなければ、活動の継続は難しいんです。

――「自立」がキーワードなんですね。

隆太朗:そうです。NPOの自立、そのために僕たちが出来ることは何なのか? 「正しい努力をすればNPOでも食っていける道」これを作っていけばいいんじゃないか? 「F,Lab」にはそういう想いも込められています。

――長くNPOで働いてきた隆太朗だからこその熱い想いですね。まゆさんはいかがですか?

まゆ:助成金事業も大きなきっかけの一つですが、私にとっては自身の経験も大きかったですね。

実はGiftに関わり始める前、私自身も任意団体を立ち上げていまして。その際「ボランティアなのにお金取るの?」など、厳しい意見をいただくことがありました。世間では「NPO=慈善事業」のようなイメージが未だ根強くあるのかもしれませんが、どんな団体、どんな活動であろうとお金なくしての継続は難しいのです。

言わば、世間と現場の間で認識のズレみたいなものが生じていて、それは現場にいた頃から度々感じていました。その度に「もったいないなぁ」という想いが込み上げていましたね。

その想いと、Giftが持ち続けてきた「支援」というコアの部分が重なったのが2020年頃。募金箱事業を通して気付いた「寄付が持つ力」を軸に、誰かの寄付が、そのまた誰かの助けになる、NPOが活力を持って活動できる、そんな仕組みづくりをしたいと考えるようになりました。

――その方法こそ「F,Lab」であり、まゆさんにとっては会計なんですね。

 

【会計への決意】

隆太朗:でもまゆさん、Giftで会計するの最初は乗り気じゃなかったよね?

まゆ:そうだね。それこそ普段の仕事が会計だし、正直ライフワークであるGiftでまで会計に携わりたいとは思えなかったから。

でも実際会計の現場に立ってきたからこそわかるんですが、NPOの会計をやりたがらない会計士って結構いるんですよ。適当にやっていて、しかも間違ってることも多い。そのせいで、払わなくてもいい税金まで払ってしまっている団体さんを見てきました。「NPOの会計をちゃんと見れる人がいるべきだなぁ」という意識はずっと持ってましたね。

――会計をやる踏ん切りがついたのはどんな時だったんですか?

まゆ:たまたま開いた会計講座の評判が思いの外よくて。2回3回と重ねるたびにより強くニーズを感じるようになって、徐々にやる気スイッチが入りましたね。

隆太朗:今でこそ本腰を入れて会計をしていますが、僕たちの本当のミッションはあくまでも「寄付」なんですよ。募金箱事業で感じた「寄付する喜び」は今もベースにあって、他ならぬ「F,Lab」もその一つ。設立当初の2016年と比べると活動は大きく変わりましたが、想いや世界観はあの頃とずっと同じ。「何を通して伝えるのか」、その手段が今は「F,Lab」なんです。

――まゆさんの「会計」、隆太朗の「想い」、そしてGiftの「ミッション」。色んなものが上手く着地した形こそ「F,Lab」なんでしょうね。

 

【ライター紹介】

人見尚汰(ひとみしょうた)

大学時代、所属先の人材教育系NPOで魅力的な大人と数多く出会い、書くこと、撮ることを通して人の魅力を伝える立場になることを志す。「みんなが知らない『実は良いもの』を知ってもらう」をモットーに、ライターや写真家として主に京都で活動中。

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