団体インタビュー「バリアフリーチャレンジ!」第3弾!
〈活動・沿革〉〈収益・F,Lab受講〉とお届けしてきた本企画。最終章となる今回は、〈価値観・ヴィジョン〉といった島本さんの内面部分へ、よりコミットしていきます。
当事者になったからこそ気付けたこと、当事者だからこそ見えるもの……。島本さんの口から発せられる言葉は、多くの人の深層に届くメッセージになり得るのではないでしょうか?
発見と再考の最終章、どうぞご覧ください。
インタビュアー:人見 尚汰
インタビュイー:島本 昌浩
【自身の変化】~もっと自分に影響力を~
人見:島本さんは後天的に障害を持たれたとのことですが、持つ前と持った後で変わったことはございますか?
島本:まず障害者になったことで仕事を失いました。もちろん自分にとってはとても大きな変化ではあるんですが、「世の中」という視点で見ればとても小さなこと。私一人いなくなったとてこの世はつつがなく回り続けていましたし、それがとても悔しかったんです。「もっと影響力を持ちたい」そんな気持ちが強く芽生えましたね。
その一方、協力的な家族や友人らの存在もあり、周りの人たちへの感謝の気持ちが大きくなりました。自分自身それまでより優しくなれたと思います。
-障害と共に生きていくことになった時、どんなお気持ちでしたか?
島本:身も蓋もない言葉ですが、「めんどくさい」と思いました。単純に体の自由が利かなくなる障害なので、ただシンプルに「めんどくさいなぁ」と。
-気分が落ち込んだり、ネガティブになることはありましたか?
島本:当時はあったみたいですよ。自分では全く記憶にないんですが、周りの証言によると非常にネガティブになっていたらしいです。
-そこからどうやって気持ちを前向きに転換されたんでしょうか?
島本:周りの人たちの存在が大きかったと思います。特に友人らは「障害者だから」と特別視せず、私に接する態度も障害を負う前と後であまり変わりませんでしたので、背中を押してもらいましたね。
そもそも私自身起きた事に対していつまでも悩む性格ではないので、よりベターに考えたり、別の方法を模索するように考えることで、次第に前を向けましたね。
【当事者になって気づいたこと】~文句を言って何か変わるのか~
人見:障害者になられてから新たに感じたことはありますか?
島本:障害者に対して身構えてしまう人が多いことでしょうか。当事者側からすれば「気にしなくていいのに」なんですがね。やれることはやるし、出来ないことはお願いするし、障害あるなし関係なく、もっとフラットに接してくれていいんです。
-なるほど。では生きづらさ、不自由さといったマイナス面は感じてらっしゃいますか?
島本:特にはないですね。そもそも周りのせいにするのがあまり好きじゃないんです。文句を言って変わるのなら言いますが、多くの場合何も変わらないので。不満があるならその不満を変えていけるよう自分で動いたり、協力してくれる人を作っていく方が私の性分には合ってますね。
【『障害』か『障がい』か 】~こだわりがないからこそ~
人見:ホームページ等拝見しましたが、一貫して「障害」と漢字表記されていたのが特徴的でした。世間的には「害」を「がい」と平仮名表記することも多いと思いますが、島本さんなりの想いやこだわりがありましたら、ぜひお聞かせ願いたいです。
島本:むしろこだわりがないから「害」表記なんですよ。
「害」をひらがなにしようが、漢字にしようが、障害があるという事実には何も影響しませんし、現れてくる文字にも何の罪もないと考えています。表記をどうするかはその人の心持ちの問題であって、むしろこだわりがある人こそひらがな表記を使うんじゃないでしょうか。
-こだわりがないからこそ……。まさしく真理だと思います。そう考えるとひらがな、漢字にこだわっている時点で、フラットな社会の実現は遠いように感じてしまいますね。
島本:当事者であり、表記にこだわりのない私からすれば、ひらがなは変換に手間がかかるだけですよ。
【目標・未来図】~課題とお金が結びつかない社会~
人見:最後に、今後の目標や未来図を教えてください。
島本:「障害」「健常」といったラベリング(区別)がなく、声高にバリアフリーを叫ばなくてもよい世の中を実現したいです。
少し穿った見方になりますが、社会的課題からビジネスを生み出す風潮が少なからずあるように感じています。例えば、障害者が懸命に取り組んでいる姿を意図して取り上げ、感動を誘おうとする「感動ポルノ」もその一つ。いっそのことそんなビジネスを生み出す余地などないくらい、課題とお金が結びつかなくなればいいですね。
-実現に向けて、「バリアフリーチャレンジ!」はどんなことに取り組まれますか?
島本:カテゴライズによって生きづらさを抱えてしまう人が生み出されないようにすることが大切です。そのためにも障害のあるなしに関係なく、様々な立場の人が対話を深めたり、自然と交流ができるような場・空間を、障害当事者である我々が作り、発信していきたいと思います。
-いろんな立場、いろんな形、いろんな生き方が受け入れられる世の中、ぜひ作り上げたいものですね。長い時間インタビューにお答えいただき、ありがとうございました!!
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