【F,Lab講座】自律的な組織を目指す②〜具体的な場の作り方〜

皆さん、こんにちは。認定NPO法人Giftです。

私たちGiftはNPOを対象に、寄付を取り入れ、安定した経営と組織体制を目指す「F,Lab」というプログラムを実施しています。第4期目となる今回、アカラクリエイト代表の井上健一郎先生をお招きし、チームビルディング(組織運営)に関する講座を実施しました。講座自体はF,Lab受講生が対象ですが、内容について一部記事として公開させていただきます。

NPOはもちろんのこと、「組織」に関わる皆さんにとって有益な情報が詰まっていますので、ぜひ皆さんの活動にお役立ていただけたらと思います。

本記事は、連載形式でお届けします。

①場について(前半)〜組織の目的と、場の重要性〜
②場について(後半)〜具体的な場の作り方〜 ※今回の記事
③組織文化の作り方(前半)〜リーダーとしてのあり方と組織の習慣〜
④組織文化の作り方(後半)〜ビジョンを作り、組織内で広める〜

前回(記事はこちら)は、組織の目的と場の重要性について確認しましたが、今回は具体的な場の作り方について学んでいきます。

それでは、いってみましょう!

会話の種類は4つ〜ホウレンソウだけでなくザッソウも大事〜

 

前回お伝えしましたが、組織で重要なのは「決める」ことです。そのことを念頭に話を進めていきます。

こちらは会話の種類を整理したものです。

「討論」は、どちらの立場の意見が正しいかを決める話し合いで、勝ち負けがあります。次に「議論」は合意形成や意思決定のための納得解を決めるための話し合いをすること。もう一つ「対話」というのがあって、自由な雰囲気の中で行われる新たな意味付けを作る話し合いで、ポイントは答えを導こうとせず理解を深めることを重視します。さらに「雑談」は、自由な雰囲気の中で行われる気軽な挨拶や情報のやり取りというの形が言われています。

これらはどれも大事です。

みなさんよく「ホウレンソウ」が大事ですよなんていうことを言われたことがあると思います。

私も一番最初社会人になった時に言われたんですけど「何ですかそれ?」っていう風に思いましたけど(笑)、今はテレワークになって実はこの雑談が大事だっていう風に言われ始めていて、「ホウレンソウ」だけじゃなくて「ザッソウ」が大事だみたいなことも言われ始めています。自然発生時に人が増え合う時にまず始まるのはものは、まずはこれ雑談からなんですよね、ここは非常に無視できない大事な要素です。

「討論」と言うのは、なかなかないだろうと思いますが、雑談、議論、対話が要素としては大事で、雑談などでコミュニケーションが取れるようになったら、次に大事なのが対話みたいなことになるんじゃないかなという風に考えてます。

 

 

関係性の質が良い組織は、成果を上げる

続いて、「成功循環モデル」というものを取り上げます。

ダニエル・キムという方が、全米で成果を上げ続ける組織、そうでない組織を何千社も調査しました。結果の質をよくするためには、行動が良くなければならない。行動を作ってるのはやっぱ思考ですと、ここまではわかますが、この方はその理由を「組織における関係性」と捉えて発表したんですね

グッドサイクルというのがあって、関係の質を高める、つまり、お互いに尊重して一緒に考えるっていう関係性を作った上で一生懸命やる、そうすると気づきがあって面白いとかね思考の質が前向きになります。そうすると、行動も自分で考えて自発的に行動するっていうなことになりやすく、行動が良いと結果もつきやすい。そうするといい結果が得られるので、お互いさらに信頼関係が高まって、関係性がさらに向上するというようなことを見つけたんです。

反対にあまり成果が出しきれていないなという企業の方で言うとバットサイクルも同時に発見されてます。結果の質を重要視するところから入っていくと、成果が上がらない場合に、対立とか押し付けが起こって関係の質が悪くなります。そうすると、仕事に対して受け身だし、面白くないなっていう考え方になってきて、もちろんアイディアも決して豊富ではなく、作り出される行動も受動的だったり、みんなが違う動きになっちゃいますねと。そうなると結果の質は上がるはずがないのでまたぐるぐると悪いサイクルに入りますよというようなことで言われています。

ただ、これ決して、仲良くなればいいよという意味ではなくて。最終的な段階っていうのはあるので、そこへ目指していきましょう。関係の質だけ求めたってダメだよという反論ももちろんあるんですね。「ゴールが示されてない」んだったら、それは良くないですよね、だからどこへ向かうかははっきりしないといけない。前回もお伝えしましたが、このどこへ向かうかと言うのは、NPOの方たちはしっかり持ってらっしゃるところが多いと思うので、やはり関係性ということに着目していくのがいいんじゃないかなという風に思います。

 

関係性の質を分解する

こちらは関係性の質を1〜5段階で表してみたものです。

 

 

まずは少し交流がある、みたいな関係性ですね。次にお互いそれぞれ違う特性とか個性の違う人たちが集まってるので、それを知り合う、背景を分かち合う。その上で、目的を共有して、最終価値観が同化するという段階に行きます。

いろんな会社さんでこの説明すると、社長さんが「うちはあの理念掲げてるから、みんな目的は共有してます」っていう方いらっしゃいます。理念が言葉として掲げられてるから目的を共有してるって意味ではなくて、そのために何をすればいいかぐらいまで浸透していて、始めて「目的を共有する」という意味になります。

そして、組織にとって大事なのはやっぱり価値観です。何を大事にして、何をしていくのかっていう価値観が言わなくてもみんなが共通に意識を持てるようになってるっていうのが一番いい。なぜなら、誤った決定をすることはなくなるからなんですね。

先程の会話の種類と合わせてみていくとレベル1、2ではやっぱり「雑談」っていうのは意外と効果があります、そして3〜4〜5と関係を深めるために対話が必要になってくるというふうに思っています。その先に、自律的に動いて全然大丈夫、一人一人が勝手に動いてもトータルとしてズレることがないという状況が訪れるんじゃないかなという思ってます。

 

関係性の質を上げるには「背景(コンテクスト)」を理解する

背景を知るということについて、少しこんな話もさせてください。

 

 

これは氷山モデルと言います。行動や感情っていうのはこうして見えてる部分ですが、どう感情が起こるか、事象の捉え方は「その人」の中にあって、ベースには「価値観」があります

ちなみに皆さんも人の行動見てて「許せないなこういうの」って思う時があると思うんですけど、その怒りって意外と価値観をベースにしてることが多いんですね。自分の価値観と違うと思うと「怒り」に変わりやすいので、怒っているということは価値観の差だったりすることがあります

さらに、生まれながらに持ってる資質みたいなのがあるということですね。人にはたくさんの欲求があり、次回詳しくお話ししていきたいと思いますけれども、その中には「承認欲求」って全員が持ってるんですけども、その種類によってモチベーションを失うとか、スイッチのあり方があるんですね。この辺も、関係性を深めるという意味ではより見えている方がいいかもしれません。平たく言うと上は見える世界、下が見えない世界ですからこの見えない世界にアプローチしていけるようになると理解は深まっていくんだろうなということです。

続いて、場づくりということで会議が「場」になっていく時のポイントに入ってきます。

 

会議では「WE」意識で、向かう方向を客観的に意識する

雑談、次に対話としてテーマを大事にして意識を共有して、さらに組織として「決定していく」ために議論も大事、ということでとにかく話し合うっていうのは大事ですよということをお話ししてきました。ここで場づくりのポイントを挙げてみます。

WE意識ってことが書いてあります。どうしても、会議などで「あなたはどう思いますか?」と呼びかけることが代表者の方なんかは結構あるんじゃないかなと思います。「皆さん、どう思います」って投げかける。そうすると、皆さんと私の間に線が1個引かれるって感覚をもってしまいます。問いかけとして、たとえば「今回のこのイベントって「我々としては」どこをポイントとして注意しなきゃいけないでしょうね」とかそんなような風に、みんなで同じ領域、同じ側の人間としてどうしようかっていうような、ワンチームみたいな言葉もありましたけどそんなような意味合いのWEという言葉は使っていくといいですよということです。

一般の会社で上司と部下を想像してほしい。君たちどうしたいの?と呼びかける場面は非常に多くあると思います。最後に君はどうするのという前に「だとしたら、君は何をすべきとしたい」と言いたい、そのための前提を作りたいというのがこのWE意識の意図です。

私たちとしてはどう考えるか?という前提を考えたいのがこのWE意識で、議論をした上で、じゃあ君はそれに対してどうすると「個」におりていく。常にチームとしての目的は何なのかに意識を持っていきたいんです。

ここから一つ一つ説明します。まず時間を設定すること。スケジュール化することも重要です。

さらにポイントとしては全員の意見は引き出す工夫をするということ。声の大きな人に引きずられてものが決まるということは避ける。

あと会話を見える化するって思った以上に大事なことで、視覚的なイメージで共通同じものを見てるかどうかっていうのは、話が空中戦でずれることが少なくなるんですね。ですから、ぜひぜひ必ずホワイトボードを使って話を進めるというなことをしていただきたいなと思います。リモートでの打ち合わせでも例えばパワーポイントに記入しながら視覚的に共有できる環境っていうのを作るのが大事なことだと思ってます。

次に、問いかけを大事にする。考えを引き出すために「どうしてそういうふうに思います?」というと問いかけをしていくってことは大事かなと思います

最後に、ブレストを習慣化する。答えを出すわけじゃないんですが、色々意見交換するっていう場があるってことは非常に大事かなと思います。私が前にいた会社は、このブレストを必ず年に2回、各セクションである意味義務行事としてやっていて、1泊2日で同じ窯の飯食うみたいな状態までやってみるとですね、やっぱりお互いをわかる、知るみたいなことで関係性が変わってくるような気がしました。

 

会議という場の機能とポイント

最後に会議の機能とポイントについて具体的に触れていきたいと思います。

 

決めるための、報告・確認する会議があります。情報を共有するっていう場合もあるし、どうしたらいいか考えようみたいな「生み出す会議」もあるというふうに思ってます。この図で言うと左側が共通認識を深めるために大事なもの、右側が相互作用によって混ぜていくために大事なもの、そんなイメージで捉えていただければいいかなと思います。

「決める」ということで言うと、事前に議題を決めておく、決め方を決めておく、5W1H(誰がいつまでに、何をする)、とにかく決めるという意識を強めることが大事です。ただし、多数決で決めることもあれば、この案件は主体者である〇〇さんが決めるのか、経営者が決めるのか、それを決めておかないとあとでふわふわしてしまいます。

進捗状況を示す、今後の予定を伝えるとあります。要するに今どうなってるかの確認と、決定事項の報告なども進捗状況の一種となります。「要素と時間」と書いてありますが、要素=やるべきことの進捗状況、時間=時間的な進捗状況、その両方があります。進捗を聞いた上で、なぜそんなことになってるのかっていう目的とか意図はちゃんと確認していきましょう。

いろんな会社さんの中で何かずれがメンバーとメンバー間であるなっていう時に、上司や社長さんたちが「何で報連相しないんだよ」っていうようなことを言ってる場面で怒ってることがあります。ただ、この場合に多いのが今後の予定が共有されていないこと、なんですね。そうすると部下は「こうなってます」は言うんだけど、それがいいことなのかわからないし、今後の予定がないから遅れているかもわからない。

計画として今月末にはここまでいく予定だよと、今後について、お互いに知ることは報告や確認をする上でとても大事です。

続いて、合意形成では、先程の氷山モデルで見たように意見の背景にある目的や意図を大切にしましょう。

あとは実際に何か行動を移した結果があるんだとしたら、行動して感じたことをちゃんと聞かないといけません。「やってみたけど、なんかいまいち盛り上がらなかったんですよね」みたいな情報があったとしたら無視してはいけないので、感じたものは場に出してもらうようにした方がいいですね。

情報を共有することも大事だと思います。情報共有だけで、決めることもないですが、それぞれが感じたものを出し合うので不定形です。これもある会社さんの事例なんですけれども、社長さんが世代交代で変わりました。そうすると、前の幹部みたいな人たちが5つぐらいセクションの長でいて、その人たちに全部情報が行っちゃってオープンになってこなかったんですね。そこで、月曜日の10時から11時まできっちり1時間、何にも話が進まなくてもそこで終わるみたいなルールを決めて、1週間に1回必ず全社員を集めたんです。

そうすると出荷担当のパートさんが「いや実はこのお客さんがいて、こうだったんですよ」とか意外とそういう情報が出てきて「どう思ったのその時?」って、この次の感情情報を引き出す。「お客様のおっしゃることはわかるけど、これってこっちの否だけじゃないですよね」と言う話も出てくるんですね、それに合わせて「今の話ってどう思うの、他の人は?」と投げかけを繰り替えしていく。

そうした場から、リーダーの立場にいる方たちは「今の話ってどういうことかな」と次の展開として大事な情報になります。情報を共有すると会社のいろんなところで、どんなことが起こしてるのかっていうのかが分かりやすいので、共通意識を作りやすいし、新しいアイデアを生み出すところにも繋がっていくと思うんですね。

まとめ

組織において成果を上げるためには、関係の質を高めることが必要です。関係の質を高めることで思考の質があがり、思考の質が上がると行動の質が上がり、結果として成果の質が上がるという「グッドサイクル」を回すことになります。

ただ、関係の質を上げると言うことは仲良くなると言うことではなく「最終的なゴール」が示されていることが重要です。

関係性の質を高めるための具体的な方法としては、一人一人の背景(コンテクスト)を理解することと、私たち(WE)がどこに向かいたいかと言うことを常に意識しながら、意思決定していくための会議設定など具体的な方法を取り入れていくことが重要です。

これまでは組織の目的と、「場」の効果についてお伝えしてきました。次回からは、さらに話を進め組織の基盤となる「組織文化」についてお伝えしていきます。

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