今回練馬の大泉学園にある、cafe Mo.free(カフェ モフリー)のオーナーの阿部雅幸さんにインタビューをさせていただきました。
私が、阿部さんのお話を聞きたいと思ったのは、モフリーさんのホームページに書かれている次の文章がきっかけでした。
「すべてのネコに愛を!」という精神のもと、ネコの里親探しや保護団体への寄付活動等を行っております。
これは、まさに私がGiftの活動で今後広げていきたいと願っている、
「NPOを応援する熱烈な企業サポーターが増えて、NPOを中心とした寄付文化が広がる」というミッションそのものだったのです。
「もう、これはぜったいにゆっくりとお話しを聞いてみたい。」そう思った私の希望が叶いこの度インタビューをさせていただくことになりました。
インタビューの内容を、記事としてまとめさせていただきました。
阿部さんの好きなネコに対する想いや、仕事感、そして社会や寄付に対する想いを、ぜひ、お読みください。
小山:cafe Mo.free本当にステキなお店ですね!阿部さんのこだわりを感じるのですが、このお店のコンセプトを教えてください。
阿部:お店のコンセプトは「ネコと音楽と本」を当初から今も柱に据えてやっています。
それは、どれも自分が好きだからなんです。
仕事が行き詰って、何をしようかなと思ったときに、この3つに囲まれて仕事ができたら幸せだなと思ってスタートしました。
小山:自分が好きなものに囲まれて生きるってことを選ぶっていいですね!だけど、なかなかできることでもないですよね!
阿部:お金を稼いでから、のちに好きなものに囲まれていくのもいいと思うけど、僕はお金を稼ぐ能力がないんですよ。
自分の好きなことで食べていくって、誰もが諦めがちで、無理だって教え込まれているような気がしますよね。
好きな猫を撫でて生きていくっていうのは無理だと言われるけど、本当に無理なのかなって思って…
そのくらい追い込まれていたのかもしれないです(笑)
稼ぐより自分の好きなものに一生懸命になれる生き方を選ぶ人たちがいて、そうすると、そういう人って集まってきますよね。
小山:本当に、そうですよね。私のまわりも似たような人が集まっていますね(笑)
そんな、阿部さんの大好きなネコと音楽と本のそれぞれの想いを聞かせてください。
阿部:この子は初めて飼った子で、
そもそも、きっかけは何か動物を飼いたいなと思って、保護団体に興味は元々あったものの、男の一人暮らしへの譲渡は難しいと言われて、それで、犬や猫、うさぎ、ハムスター等も調べたのですが…
ネコは散歩に行かなくていいからネコにしようかなって軽い感じで(笑)
それで、保護団体からの譲渡は捨てがたいなと思い、たまたま近所でやっていたので「実際はどうだろう?」と行ってみたら、そこはそんなに厳しくなくて。
だけど、最初に行ったときは合う子がいなくて帰ってきたのですが、何日かして「相性のいい子がきましたよ」と連絡が来て、それで、この子を1週間くらい一緒に暮らして、一緒に暮らすことになりました(笑)
小山:そうなんですね!一緒に暮らしてみて、愛着がわいてきた感じなんですね。
阿部:何の気なしに引き取って、その選択があったから今インタビューを受けることになって、人生が変わった。開業するともカフェをやりたいとも思っていなかった。
ネコをなでたり、いつでもピアノを弾いたりできるような環境にしたかったんです。
目の前にピアノがあるだけでもゆとりがあるんですよ。
どこかで仕事って思っていないところもあるのかも。
あいまいで、仕事をしている感覚ではないですね。
小山:いいですね〜!お気に入りの場所なんですね!
阿部:そうですね。自分の家にお客さんが来て、もてなしている感じですね。感覚的には仕事をしている感じはないです。
小山:そういう生き方ステキですね!
阿部:そうですね。ここに来ることが苦にならない。それが大事だと思う。
アドレナリンが出るわけじゃなく、自然に取り組める、自分の一部のような感じ。
もちろん、早く帰りたいと思う日もありますよ(笑)
ごはんを食べるような空気を吸うような感じで仕事をしている感じですね。
小山:一体になっている感じなんですね。そうは言っても、今は特に飲食店の経営大変だと思いますが、もう無理だって思う瞬間ありますか?また、続けていきたいと思うのはなぜですか?
阿部:無理だなと思うのは、お金が尽きてしまったときですね。
仕事という感覚がないので、働いている時間が8時間とか意識しないですし、時間が過ぎてしまう感覚がない。だから、12時間やろうが苦ではない。それは大きいですね。
続ける動機は最初はエゴですよ。今もエゴな理由で続けているかな。
やっていく上で理由が広がって、応援してくれている人がいたり、自分がやっていることに共感してくれたり、続けてほしいと言われたり。
先日、お客さんがお子さんと一緒にいらっしゃったときに、
「将来こんなお店がやりたい」とそのお子さんに言われたとき、もうちょっと頑張ってみようかなって。
最初にはじめた理由以外の理由が広がってきている感じです。
コロナの前から、飲食店なんていっぱいあって、うちより接客の良いお店が近所にもあるだろうけど、遠くから来てくれている。頑張ってと言われなくても、その行動がわかるだけで続ける動機づけになる。
小山:お店に来てくれた子がこんなお店やりたいっていうのは励みになりますね!
本当に素敵な空間ですが、個人的にはお店のコンセプトの中に社会貢献が含まれているところもとても共感できます。
具体的には、保護猫の団体さんの支援活動をされていて「すべてのネコに愛を!」というコンセプトで経営されていると思うのですが、具体的にどんな支援をされているのか教えていただけますか?
阿部:物販売上の10%と、それ以外にもお客様からお預かりする事もあります。例えば、お釣りは寄付に…といったようなものなどもありますね(笑)
また、猫の里親になって頂いたお客様もいらっしゃいます。
お賽銭箱も、実際に貯まっていると、そのときどきの状況で寄付しています。例えば台風の被災地やコロナの医療従事者など、次は熱海の土砂災害の支援をしようと思っています。
自分のために美味しいもの食べたり、欲しい物も特になくて、お客さんや猫などに還元したいと思ってやっているんですよね。
寄付をし始めたのは、震災のときに自分の中で衝撃的で、それまでは気まぐれで募金箱に入れていたのですが、あのときに考えが変わったんですよ。
そこから毎月寄付(赤十字だったり、自治体だったり)をするようになりました。
3年目くらいから振込が面倒になり、引き落とし出来るところを探していたら、みちのく未来基金を見つけ、その精神に共感して毎月引き落としでの寄付を始めました。
そこにずっと寄付していたのですが、団体が目指していた目標金額が達成したので、今は児童養護施設とカタリバに同額を寄付しています。
毎月寄付ってすごいなって思って…
何か起きたときに大金を寄付するのは自分にはできないですが、少額でもずっと継続している方が自分にはあっているし、そのほうが大事なような気がしているんです。
小山:私たちもNPOへの継続寄付を増やしたいと思って活動しているので、本当にそういうふうに言っていただけるとそれだけで心強いです。NPOが持続的に活動するためにも、途切れない毎月の寄付がありがたいんですよね。
だけど、実際はなかなか月額寄付はハードルが高いですね。クラウドファンディングのような単発の応援だと集めやすいのですが…
阿部:今の自分の立場だと、途切れず無理をしない支援が根底にありますね。
ボランティアもそう。体壊して貴重な休みを潰すより、継続的に続けられる方がいいと思うんです。
できれば、寄付に対して、見返りさえ感じない世界がいいと思っている。
全く負担のない額。毎月1000円。人によっては1万円出せる人もいると思う。
お金出せなかったら、リツイートするとかもいいと思う。
お金をくれる人と、情報の拡散だけの人だからと分けることはないですよね。
営利団体の社会的な役割について、私が考えているのは、
たとえばコンビニが分かりやすい例なのですが、
コンビニは災害時にはその周辺住民にとって重要なインラフになったり、深夜の女性の一人歩きなんかに、その灯りが心強かったり。
営業しているだけで、自分が望む望まないにかかわらず自然とそんな役割ができていってしまうので、どうせそういう役割を担うならいっそ「自分は公器なんだ」と意識を持って仕事した方がいいのでは、と個人的には思ってます。
うちは保護猫の活動だし、他のところも環境に配慮したり、障害者を雇用したり、そういうことができますよね。
いろいろなところに想いを馳せることでもっと変わると思う。
気づいていない人が気づくとよりいいと思いますね。
僕くらいの人なら月1000円寄付するのは何でもないと思う。
実際、震災後に寄付した人が多くなったように、言ってないけどやっている人は多いと思う。
土砂災害にも寄付した人すごく多いと思うんですよね。
猫に寄付している事は言っているけど、児童養護施設に寄付していることは、うちのコンセプトとは違うからオープンにしていないんですよ。
小山:私もそういうふうに経営をする事業者さんが増えたらいいなと心から思います。
では、阿部さんにとって、将来こんな社会になったらいいなというビジョンはありますか?
阿部:子どもたちが好きに楽しく生きてほしい。
そうするには、大人が仕事が嫌だとか社会に絶望だとかしている姿ではなく、子どもたちが希望を持てるように、自分が楽しんでいる姿を見せることが大事だと思うんですよ。
学校や会社、ルールや常識はその時代の大人が作っている大人の世界で子どもは生きているわけなんですけど、そのルールに縛られず生きていけばいいのではないかなって思っています。
自分が大人になって分かったのは、大人ってほんとに大した事なくて間違いだらけだったりで、そんな間違いだらけの大人が作ったこれらなので、別に正解ではないと思っています。
これも、正解じゃないのですが、たとえばもしそんな学校を「つらい気持ちで過ごすくらいなら」行かなくてもいいと思いますよ。
ただそうは言っても、これらがメインで世界が回っている以上、そこに行かない(馴染まない)子達にはハード・ソフト両面でのバックアップやフォローが大前提だと思っています。
ちなみに、サン=テグジュペリだかインディアンの言葉で「地球は先祖から受け継いだものじゃない、子ども達からの借り物なんだ」という言葉と、「子どもに夢を持たせたければ、大人こそ夢を持て」というアントニオ猪木の言葉は好きですね。
この言葉のようになるためには、大人がこの社会を楽しく生きていくことが希望になると思います。
そして、私は自分のやりたいことをやっているだけ。
だから、子どもが「モフリーやりたい」と言ってくれると、嬉しいんです。
ピアノをはじめたのも、中学の音楽の先生が独特の人で、休み時間にくわえタバコでモーツアルトを引いているのを見て、かっこいいと思ったのが理由です。
学生時代に、アルバイトをしていたときにも面白い大人が多かった。
そういう大人が子どもにとって教師になる。
先生が面白そうにしているとその教科を好きになるのと同じですよね。
特別なことじゃないと思うんですよね。
まずは、自分が楽しむことですね。自分のエゴを何処まで突き通すか!
常に背水の陣でやるほうが色々と考える。
追い詰められているから考えるんですよね。
楽しくやるにはそれなりのリスクがあるほうがいいんじゃないかと思います。
【インタビューを終えて】
終わって思ったのは、やっぱり阿部さんにインタビューさせていただいてよかったというのが、最初に感じたことでした。
私自身、このGiftの活動の中でやってみたいと思っていることがあります。それが、阿部さんのような、社会貢献やNPOの支援をしている経営者を増やすことなのです。
それは、NPOだけで社会課題解決が難しい理由の一つが資金面の課題だからです。お金が理由で夢を諦めるNPOがいることは、社会全体にとっての損失だと私は思っています。だからといって大金を寄付しましょうという話ではありません。
身の丈にあった寄付をすることで、みんなのギフトが循環する社会になると良いなと思うからなのです。
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2020年2月、店内に古本を中心とした本屋「もふり書房」開業致しました。
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