【大切にしている事】
――講座を行う上で意識していることや大切にされていることはありますか?
隆太朗:これは二つあります。一つは、「できるようになること」。
タメになる話や面白い話って、満足度高いですよね? でも「聞いただけ」って、何も身に付いていない場合が多いんですよ。100個の良い話より、1個の成功の方が重要だと考えています。実践してナンボ。実際にやってみて、失敗して、振り返って、またやってみて、ようやく上手くいった、という成功体験を「F,Lab」では大切にしています。
そして二つ目は、「寄り道大歓迎」。
本来「F,Lab」は半年間の講座なんですが、期間通りにマスターしていただこうとは正直思っておりません。「やらなきゃいけない」とか「とりあえずこなしておこう」みたいな、タスク感覚で取り組んでもらっても成長しないからです。わからないことがあればみんなで頭を抱え、例えケンカになろうともみんなで意見を出し合う。時間がかかることかもしれませんが、むしろそういう「寄り道」を経るからこそ見つかる大事なこともあるはずなんです。
講座においてステップ突破は基本的なことだし、大切なことです。でもメンバー同士で向き合うことも忘れないで欲しい。僕たちの願いは、僕たちの手を借りずとも自分たちでコミュニケーションを図り、運営していけるようになっていくことです。
【受講生からの声】
――もうすぐ第一期を終えるとのことですが、現時点で感じる成果や受講団体からの声はいかがですか?
まゆ:ファンドレイジングで結果を出し始めたり、寄付担当者が育ったりなど、少しずつです前向きな報告を受けていて嬉しいですね。
――NPOの成長、自立の兆しを感じているんですね。
まゆ:そうですね。受講後のプロセスとして、寄付キャンペーンを予定していまして。私たちの想定では、そのタイミングまで行けば受講費として払った金額くらいは簡単に回収できるレベルまで成長しているはずなんです。
先ほど隆太朗が言ったように「Giftがいなかったら活動できない」ではなく、自分たちで資金調達や会計を賄えて、活動の幅を広げていけるようなところまで成長して欲しくて。むしろそうなっていないと「F, Lab」自体が失敗だと思います。
【F,Labの未来図】
――最後に、Giftが思い描く「F,Lab」の未来像や期待感を教えてください。
まゆ:「『F,Lab』を広めたい!」という人が出てきてくれたら嬉しいですね。「Giftを全国展開していく」というよりかは、「私たちのノウハウを広めていきたい」という思いの方が強くて。「F,Lab」を受けた人がまた別の地域でそのノウハウを広めて、そこでまた「面白い」と思ってくれる人が現れて、別の人に伝えていく、みたいな。そうやって少しずつでも寄付に対する意識が変わっていったり、寄付する喜びが日本中に伝わっていくといいですね。
――そこまで行くと社会構造まで変わってそうですね。
まゆ:例えば就職の選択肢として当たり前にNPOがあるとか、日本社会の中心にNPOがある、そんな世の中になれば素敵です。
――ありがとうございます。隆太朗はどうですか?
隆太朗:僕の考えも大きくは変わりませんが、「F,Lab」のようなNPO支援のノウハウが全国の各自治体に浸透していったらいいですね。
これまで社会が抱える課題やニーズは、行政や法と言った、いわゆる「仕組み」が対応してきましたが、これからはそうはいきません。働き方や生活スタイルなど人々の暮らしが多様化する時代において、一斉・一律を得意としていた「仕組み」はうまく機能しづらくなります。「個」と向き合えるのは、同じく「個」。NPOがその役割を担い、ある種のエッセンシャルワーカーとして社会をリードしていけるような世の中になっていくべきではないでしょうか。
10年後、あるいはもっと先の夢なのかもしれません。47都道府県、851の市町村に「F,Lab」のノウハウが行き届いた時、きっとNPOは社会にとってかけがえのない存在になっているはずです。
――NPOが身近な社会……、情熱に満ちた社会になっていそうで楽しみです! お二人ともありがとうございました!
【ライター紹介】
人見尚汰(ひとみしょうた)
大学時代、所属先の人材教育系NPOで魅力的な大人と数多く出会い、書くこと、撮ることを通して人の魅力を伝える立場になることを志す。「みんなが知らない『実は良いもの』を知ってもらう」をモットーに、ライターや写真家として主に京都で活動中。