「社会を動かす事業、ムーブメントとは?」今井紀明さん(認定NPO法人D×P)

 

皆さん、こんにちは。認定NPO法人Giftです。

Circular Design College(サーキュラー・デザイン・カレッジ)は、想いやお金が循環する社会づくりを探求する場です。これまでの価値観を抜け出して、一歩先の取り組みを行うゲストからビジネスや日常の中で新しい選択肢を得るための視点や着眼点を学びます。

第三回目のゲストは今井紀明さん(認定NPO法人D×P)、タイトルは「社会を動かす事業、ムーブメントとは?」です

子ども若者を対象した事業内容と、その事業に参加する仲間集めについてお話を伺いました。

※認定NPO法人D×Pでは、現在グリ下でのユースセンター事業を継続的に行うためのクラウドファンディングに挑戦されています。ぜひ、皆さんも参加してください(画像をクリックすると、クラファンページへ)

10代の孤立を解決するためのD×Pの事業


認定NPO法人D×P代表の今井と言います。
「10代の孤立を解決する」というテーマで事業をしています。

私は神戸市在住で、二人を娘を育てるステップファーザーをしつつ、12期目となるNPOを運営しています。趣味はマラソンで、毎月200km以上、神戸の山々を走りつつ過ごしています。

もうじき13期に入るところですが、スタッフの人数は、アルバイトや業務委託の方々を含めて44名、ボランティアへの登録は約800名、マンスリーサポーターは3,100人を超えました。単発の寄付者さんを合わせると5,000名近くの方々が参加してくださっていて、多くの人たちと一緒になって現場をつくってきているNPOです。

法人のみなさまからも、120社以上に月1万円以上寄付いただいていますが、約2.7億の予算のうち、80%近くが個人の方からの寄付になっています。

目指しているビジョンとしては「一人一人の若者が自分の未来に希望を持てる社会」で、創業以来変わっておりません

取り組んでいる課題としては「10代の孤立」で、大事な10代後半から、特に使える社会資源や制度が少ないと活動の中で感じていて、不登校・中退・経済困窮虐待など、様々な孤立状態にある子どもたちの状況にアプローチしてきました。特に日本では、少子化に関わらず、不登校、虐待相談件数が過去最多になってきていて、課題としては大きい、課題解決に向けて動いていこうと言うことで寄付者さん、ボランティアの皆さんとともに動いています。

ユキサキチャットというオンライン相談を実施していて、13〜25歳までの方たちが、現在13,000人ほど登録しています。LINEを使ってオンラインで相談に乗りつつ、食糧支援や現金給付をしています。子どもたちのいじめの相談や自死についての相談をオンライン化しているところはありますが、総合相談という形で、困窮も含めて一元化しているところはあまりないと思います。

福祉制度をそもそも知らないと言うこともありますが、子ども若者からすると「相談」はハードルが高いので、オンラインで対応していきたい、というのがユキサキチャットの事業です。

オフラインでの事業にも取り組んでいます。通信制・定時制高校では中退や不登校歴のある子どもたちが多いので、対応するプログラムを行っています。定時制・通信制高校での対話型のプログラムのクレッシェンドや「居場所事業」を実施していて、多くのボランティアの方々にも参加していただいています。

「グリ下」という言葉を聞いたことがある方はいらっしゃいますでしょうか。大阪で家出をしているような子どもたちが、グリコの看板の下、路上にいると言うことで、そうした子たちの支援としてユースセンター事業も行なっています。

 

「寄付」で、国や株式会社が取り組んでいない領域にアプローチする


ユキサキチャット(オンライン相談)はどういう現場かと言いますと、元々は不登校の子たちの進学就労相談については、6年前からやってきていました。

ただ、2020年の緊急事態宣言下で、親に頼れない10代の子たちから、「バイト代を親に取られた」「所持金がありません」「ガス電気が止められています」「食費を削っています」などの相談が寄せられるようになってきました

緊急事態宣言の最中で働けない状況では、相談だけでは対応できず、親に頼れない子たちにとってはかなり厳しい状況でした。そこで3つの事業を始めました。

1つは緊急支援として「8万円給付」、滞納と借金の課題が6割もあったので、短期支援として公的支援やアルバイトに繋げていくことを3ヶ月間行いました。さらに、長期支援として1年間や学校卒業まで、大学や専門学校を卒業するまで食糧支援やチャット相談を続けていく「ユキサキ支援パック」という形で、支援してきました。公的支援にはなかなか繋がりにくい中、広告なども利用して情報を出してリーチしてきました。

食糧支援の内容は、お米2Kgと30食が基本パックとなっていますが、個々の状況に合わせてカスタマイズしています。調理器具を持っていない方も4割程度いるので、お湯だけで調理できるセット、常温だけで食べられるセット、固形物を食べられない療養中の方などへの対応や、女性からの相談が7割なので生理用品やシャンプーなども提供しています。

親に頼れていない、ご飯をつくった経験がない、ケアをしてもらった経験がないという子たちも多くいますので、こういったカスタマイズの支援をしてきています。

食料支援は今日、1万3,000人を超え、現金給付は7,500万円を超えました。 

株式会社や国が取り組んでいないことが実現できるというのが寄付の強みだと思っています。民間から提言しつつ、いかに子ども若者へのリソースを作っていくかが大切なことだ私たちは思っていて、サポーターさんはそのための「仲間」だと思っています

 

接点を増やし、寄付者=仲間を増やしていくには


コロナで一部予定していた寄付がなくなったことがありました。
この時から危機感をいただいていて、個人の方からの寄付をいただけるよう切り替えていき、月額の1,000〜2,000円のサポーターさんを増やしてきました。現在では約2億程の予算の8割近くが、月額のサポーターさんからの寄付になっています。

D×Pでは人件費にお金を割いていくということを、寄付者さんにお伝えてしています。大阪府の平均的給与を出していくことと、マネージャークラスはさらに給与を上げていくということも、寄付者さんにもよくお伝えしていることです。現物給付だけでは厳しいので、相談が必要になっていきますし、ビジョンを実現するために、職員が希望を持てなければ終わり、だと思っています。

加えて、経営指標も作っています。「次年度資金確保率」を10%を確保するということや、急に支援が終わってしまっては困るので、「無収入寿命」が半年以上ということ、この辺りもしっかりお伝えしています。

月額寄付は3,100人を超えました。創業の3期までは事業収入の方が大きかったのですが、国や地方自治体ができないことをやっていくために、事業し収入を削って寄付型に移行していきました。

僕の時間を、寄付をいただくこと、そのために説明をするように時間をとっていこうと体制を変えていきました。寄付をお願いしていくことが重要になってくるので、ファンドレイジング・広報の人件費をしっかり出していこう、ということもやっていきました。僕自身も、普段からSNSでこまめに発信をしていたり、団体としてもSNSでの発信が得意だったので、そこを活かして、仲間集めをやってきていたと思います。

また、寄付を集める中では「ドナーピラミッド※」を意識しています。仲間づくりするときに、潜在的な仲間にいかに認知してもらうのか、SNS、メルマガ、そこから段階を上げていって、単発寄付をしてくださったり、月額の寄付者さんになっていただく。

関係人口をどう広げていくのか、いかに接点を持っていくかは、非営利組織全般で大事なことだと思います。

※出展:https://fundrex.co.jp/lab/2481/

今後の展望ですが、13〜25歳の子ども若者は約1500万人強くらいいるといわれていますが、その中で私たちのサービスを必要とするのは200万人以上かと思っています。

政府がリーチできているのは、さらにこの1割強くらいだと試算していますが、まずは3割の若者にリーチしていこうと思っていてます。一定以上リーチしていけるようになると、国なども子どもたちの声を聞けるようになり、リソースを割くことができるようになっていくと思っています。

みなさんもぜひ一緒に、やっていきましょう。

最近は、企業での社内講演に呼んでいただくことも多いですが、今回Giftさんのようにイベントを組んでいただくのも非常にありがたいですし、何かしらの形で参加していただけたらと思っています。

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