皆さん、こんにちは。認定NPO法人Giftです。
数々のNPOの会計相談に対応してきた認定NPO法人Giftが、これまで相談の多かった組織、会計等についての課題を解決するための講師陣をピックアップした講座「F,Lab+α」。
第2回目の古川龍生さん(ソニー生命保険株式会社)による講座「お金のマインドブロックを外す!」の内容を一部編集して開催レポートとしてお届けします。
Giftはこれまで古川さん一緒に「学校では教えてくれないお金の話シリーズ」という講座を繰り返し行ってきました。古川さんは「お金」にまつわる商品を扱うプロであり、営業として日々商品を売るプロです。「認定NPO」を目指そうとすると、「自分たちの活動に価値を感じていただき、お金をもらう」ことに慣れていく必要があります。
自信を持って寄付を募るためのマインドブロックの外し方や、コミュニケーションの取り方について学んでいきましょう!
マインドブロック=思い込みのようなもの
マインドブロックとは、「潜在意識」の中にいわば思い込みのような形で刷り込まれている、いわゆる「思い込み」のことです。
寄付のお願いをして、実際に嫌な顔をされてしまった、断られたという経験をされている方がいらっしゃるかと思いますが、そのタイミングではたまたまそういう結果になっただけで、別の方には寄付してもらえていたり、タイミングが違えば寄付してくれたかもしれない、ですよね。
ただ、そうした「積み重ね」によって思い込みのようなものが作られていくことが、寄付のお願いのハードルが高くなっている要因かと思います。
この「マインドブロック」を外していくためにできることは、実はたくさんあります。
自分と相手の「潜在意識」へのアプローチが重要
人間は意識だけでなく、無意識レベルで物事を判断していると言われているのですが、そのパーセンテージはどれくらいだと思いますか?
実は、顕在意識が1〜5%、潜在意識が95〜99%と言われています。
意識できている部分はごく一部であって、無意識でいろんなことを感じているということなんですね。
この「潜在意識」まで踏み込んでいくことが、寄付をお願いしていく上で重要です。断られてしまって「もういいかなぁ」と思ってしまう、これでは相手の潜在意識まで入り込めてないのかと思います。
また寄付をお願いする相手の方だけでなく、お願いする自分自身の潜在意識も重要です。反対に自分自身の潜在意識自体も、「断られたくないな」「なんとなく足が進まないな」活動が進まない要因となっていたりします。
ここではまず「顕在意識」と「潜在意識」というものがあるということを覚えていただけたらと思います。
潜在意識へアプローチするためには「伝え方」が重要
では、具体的にどのように行動していけばいいのか、ポイントを2つお伝えします。
まず1つ目は「自信を持つこと」です。内面から意識をすることで自分の見え方が変わります。自信がある人とない人は、ぱっと見でわかります。自信があるかないかで、伝わり方が全然違います。
Giftを通じて出会った団体の皆さんは、それぞれ想いを持って活動しておられる方々ばかりです。その想いについて、まず自信を持っていただきたいと思います。そしてそれを外に出すときに重要なのはメラビアンの法則です。このメラビアンの法則については、後ほど詳しくお伝えします。
2つ目は、「再現性があること」です。誰に喋っても、どんな状況でも同じパフォーマンスが発揮できることが大事になります。人前だと緊張してしまう、オンラインでも顔出しはちょっと、、などと緊張してしまって話が飛んだり、同じ内容が伝えられないということがあるかもしれないです。
いろんな状況で同じパフォーマンスをしていく必要があります。そこでは型があることが重要です。保険営業では「トークスクリプト」があり、それを繰り返し練習していきます。トークスプリクトがあることで繰り返し練習ができるので精度が上がってきます。
信頼はコントロール可能
次に「伝え方」についでです。ここで一回考えてみてください。
「信頼」とは、なんでしょうか。
人それぞれに回答はあると思いますが、「信頼」と「信用」という言葉があると思います。違いについて考えたことはありますか?
直訳すると信用はcredit、信頼はtrustです。「信用取引」とはいうけど「信頼取引」とは言いません。また「信頼関係」というけれど、「信用関係」とは言いませんよね。
信用は過去の実績や結果に基づく客観的・物理的なものです。いい人だからクレジットカードが作れる、ということはありませんよね。一方で、信頼は未来の行動を信じ期待することで、主観的、精神的、感情的なものです。信用は客観的・物理的なのでその場でコントロールできません。
信頼は精神的・感情的なものなので「コントール可能」なんです。
では、どのように「信頼」を得ていけばいいでしょうか。
バックトラッキングによる「コミュニケーションの無限連鎖法」
バックトラッキングとは、会話の中で「オウム返し」をすることです。バックトラッキングには2つのポイントがあって、1つ目がメラビアンの法則、2つ目がフィッティング=情報を一言付け加えるということです。
まずメラビアンの法則ですが、ただオウム返しするのではなくここで「メラビアンの法則」全開でオウム返しをします。「相手の発言を繰り返して、大袈裟に受ける」ということです。自分を客観的に見ることがなければ、自分自身がどんな表情や声をしているかはわかりますが、自分が思っている4倍は「暗い」と思います。思っているようり大袈裟にしてもらって大丈夫です。
メラビアンの法則は「3V」の法則と言われます。
Visual(視覚情報)が55%、Vocal(聴覚情報)が38%、Verbal(言語情報)が7%となっています。話しの内容より喋り方のテクニックが一番重要、第一印象が重要ということです。竹中直人さんの「笑いながら贈る人」をご存知ですか?よかったらまた検索をしてほしいのですが(笑)、言葉と見た目が矛盾している時にどっちの情報に引っ張られるかという実験をしたところ、このような結果になっています。
言語化できない情報が山ほどあり、目と耳から入る情報が大事で、相手の反応が変わってくるので意識してみてください。
バックトラッキングのポイント2つ目はフィッティングです。フィッティングとは「情報を一言付け加える」ということです。
例えば出身を聞いた時に「福岡県です」と回答が返ってきた。その時に「福岡県ですね。」というだけではなく「福岡県なんですね、めちゃくちゃいいところですね!」とメラビアン全開で、一言付け加えると話が華やかになると思います。
ただ、バックトラッキングだけでは話が広がりません。5W1Hを意識する、YesNoで答えられない質問をすることも重要です。「ラーメンが美味しいですよね」だと、「そうですね」で終わってしまいます。「どこのお店が美味しいですか?」など、5W1H質問をしてみてください。これを繰り返すことで、コミュニケーションが無限に連鎖していくようになります。
人は自分が興味のあることであればいくらでも話せくれます。無限連鎖をすることはわかったけれど、これが信頼にどのように繋がっているのでしょう。脳科学的考察としていますが、扁桃体というところが指令を出します。
脳は感情と行動のどちらが先に来ているのかの区別ができないと言われています。吊り橋効果というものがあります。吊り橋を渡る怖さで心拍数が上がってきたり、好きな相手が一緒に横になるだけで心拍数が上がる、これは同じように心臓は動きますよね。脳はここが区別できません。
行動と感情の区別できないので、プライベートな話をしている=その人のことを信頼していく、ということになっていきます。
自己開示の返報性
最後に「自己開示の返報性」について説明します。聞きにくいことを、話しかけるこちらが「自己開示」すると聞きやすくなりますということです。
例えばお住まいどちらですか?と聞くのと、「私は最寄駅が〇〇なんですけど、Aさんは?」と聞くことで、相手は答えやすくなります。「自分が自己開示したところまで、相手が降りてきてくれる」、そんなイメージです。
ただ目上の方だったり、人によって差があると多います。その時は自分でない違う人についての情報を開示する。それは他己開示と言います。例えば50代男性だったら、「この前お話した人がこんなこと言っていたんですけど」ということもできます。共通点がある方の情報を開示していくことが重要です。
まとめ
人には「マインドブロック」と言って、思い込みがあります。この思い込みを外すには、自分自身も、寄付をお願いする相手も「潜在意識」に働きかける必要があります。
潜在意識に働きかけるには、まず自分の想いに自信を持って働きかけること、印象が全然違います。さらに相手の潜在意識に働きかけるためには「バックトラッキング」が有効です。
バックトラッキングでは、メラビアンの法則を意識して、自分が思っているより大袈裟に返答すること、さらにフィッティング=相手の返答に一言付け加える、さらに5W1Hで質問をしていくことでコミュニケーションの無限連鎖が起きていきます。「自己開示の返報性」を意識して、プライベートな話をしていただくことで、信頼性を高めるコミュニケーションをとっていくことができます。
実際の講座の中では、参加者の皆さんの具体的な質疑応答が続きました。
古川さんが保険営業で培った「信頼が得られるコミュニケーション方法」、ぜひ取り入れてみてくださいね。